2008/10/11 土曜日

「週末2日だけ働いて-農業で1000万円稼ぐ法」-堀口博行

Filed under: 社会 — admin @ 13:46:22

 かなり怪しい感じの題ですが、なかなか面白かったので、紹介します。著者はサラリーマン。土日や朝に農作業をして、1年目400万円、2年目600万円、3年目で1000万円の利益を上げたということ。

 作る作物は、麦や大豆を作ってはいけない。これは、単位面積あたりの利益が低すぎるから。10000平米(1ヘクタール)で、麦は30万円、大豆は40万円、米は200万円、長ネギは600万円の利益になるらしい。著者は、長ネギをメインにしているということ。

  また、面白いのが、中間マージンを削る為、近隣での直販をメインにする人が多いが、これは、絶対だめであると言う。なぜなら、野菜は収穫の時期が一気に来るため、大量の出荷を短期的に行わなければならない。その為には、農協を通して市場に販売することが重要であるという。また、直販の方が高く売れるわけでもないと言う。

 さらに、リスク回避の為に、農薬を使うべきであるという。著者によれば、最近の農薬は低濃度で、農協での出荷基準がかなり厳しい為、安全性は確保されているという。農薬を使わない場合、作業が非常に大変になるばかりでなく、病気で収穫できないリスクが高まり、収益性とリスクを考えると合わないという。このあたりは、多少疑問もありますが。。。

 あと、自家消費用に多種類の野菜は作らないこと。これは、大変な作業負担になるばかりか、家庭菜園的なやり方では、小ぶりで形が悪い場合が多く、栄養的にもよろしくないという。小ぶりで形が悪いということは、実際、未成熟か栄養不足であり、そんな手間をかけるぐらいなら、自家消費分はスーパーで買うべきとのこと。確かにそういった面もあるかもしれない。

 などという具合に、帰農をあこがれる人の思いとは、違った視点が多く、異論も多々あるが、なかなか参考になる書籍かと思う。

 

2008/9/27 土曜日

世界各地で建設中の「グリーンビル」

Filed under: 社会, エコロジー — admin @ 21:35:53

 最近、世界の大規模ビルは、目立つデザインとともに、自らエネルギーを作り出す装置を持つようである。一番、有名な所では、ドバイにできる「ローテーティング・タワー」であろう。これは、各フロアが自在に回転し、時々刻々とビルの形状が変わっていく。高さも300メートルを超える。変幻自在なタワーとして、注目されているが、実はこのビル、すべての電力を、屋上のソーラーセルと48基の風力タービンでまかなうという。

 バーレーンに立つ計画の「エネルギー・タワー」は、やはり300メートルを超えるが、屋上に炎の形状をした巨大な風力タービンと、太陽に合わせて回転するソーラー・パネルを配備し、自家発電にて対応する。また、自然の風の流れを利用した空調を作るとのこと。

 シンガポールに立つ予定の「EDITタワー」は、植物で太陽熱を遮るまさに、グリーンビルである。使用する水の半分を雨水と排水で処理をするという特徴がある。

 これらのビルは、超高級アパートメントとなるが、エネルギー供給の問題からは開放される。集合アパートの良さというのは、戸建ではできないような大規模な共有設備を持てる所にある。特に巨大な集合住宅は、タウンとしての機能を持つものもあり、機能面でコスト面(一戸あたり)で優位な点が多い。アイデアさえあれば、結構、面白いことができる。

 そんなこともあり、最近、グリーンビルには注目している。

2008/9/16 火曜日

「ほぼ確実に世界の経済成長があなたの財産に変わる最も賢いETF海外投資法」

Filed under: 社会 — admin @ 20:52:47

 著者は、大手グローバル金融機関勤務の北村慶氏。氏には多数の著作があり、論旨は一環しており、一般の人には、INDEX投資を勧めている。

 今回の書籍は、投資の考え方について、重要な部分を網羅しており、初めて投資関連の書物を読みたいと言った人に、勧められる一番手ごろなものと思う。実際に、これを読めば、投資ができる。

 昨日、リーマンブラザースが破綻したが、全世界の株価が急落し、円高になっている。タイミング投資法は、だめだとこの著者は述べているが、企業の予想収益(PER)基準から考えると、全世界への投資を始めるのには、いい時期だと思う。

 ネットの証券会社に口座を開き、国内株式連動ETF・先進国連動ETF・新興国連動ETFの3本を買えば、全世界の50ヶ国程度に、一気に投資が可能である。しかも、維持手数料は、投信などよりも、かなり安い。今後、エネルギー問題・食料問題などを解決するような企業が出て、世界経済が、発展すると思うのであれば、投資してみるのも、いかがだろう。 

2008/9/7 日曜日

「ソロスは警告する」-ジョージ・ソロス

Filed under: 社会 — admin @ 23:24:49

ジョージ・ソロスは、ヘッジファンドの大御所であり、通貨の大量の売り浴びせによりイングランド銀行をつぶした男として有名であるとともに、慈善事業家、哲学者としても取り上げられる多面的な人間である。既に78歳であるにも関わらず、最近、また、ヘッジファンドの運用を自ら行っているという。数千億円の資産を持ちながら、この年で資産運用をするというのもめずらしい。別の意図があるのであろう。

 日本のタイトルは、売るためにこうなってしまったのだろうが(講談社刊)、原題は、「The New Paradigm for Financial Markets - The Credit Crisis of 2008 and What It Means」となっている。 2007年に起きたサブプライム問題の背景には、いまだかつて起きたことがない信用収縮が起き始めており、2008年から世界の経済全体が危機的な状況に向う。というのが、本書の主張である。

 ソロスは、ここ数十年ずっと、株価の動向や経済予測は基本的にできないと主張している。自然科学は、対象と観察者が分離できるが、社会科学は、対象と観察者が不可分であり、自然科学の知識を社会科学に当てはめることは、基本的に無理があると言っている。

 その為、自然科学には、正規分布するような現象が多いが、社会科学的な現象には、何らかの予測されえないポジティブ・フィードバックがかかり、どんどん株価や住宅価格がつりあがったり、いわゆる経済学の理論では、数万年・数十万年に一度しかおこり得ないようなことが頻発してしまうと言う。

 ソロスは、これを「再帰性」という言葉で説明しており、いつどこに起こるかは理論化できないが、 とんでもない行き過ぎはいろんな社会現象として、頻繁に起こると言っている。最近、このような主張は、天才数学者と言われ、フラクタル図形を作ったマンデル・ブローも主張しているが、ソロスは、数十年前から、このような視点で実際にヘッジ・ファンドに取り組み、結果、数千億円の資産を作ってきた。

 ちなみに、当親サイトであるインテグラル理論でも、物理次元の法則と生物次元の法則、心理次元 の法則はそれぞれ違ったものであり、安易に別の次元に適応するのは、大きな問題を引き起こす可能性があると言っている。これを、インテグラル理論では、「カテゴリーエラー」と呼び、注意を促している。

  ソロスが言っているから耳を傾けるというのも、あまり合理的ではないが、現代の金融システムは、数十年かけて起きた信用バブルの結果であり、実態経済とかなり乖離している。ふと、ここで眼を覚ましてしまうことになるかもしれない。エネルギー・食料問題も背景にあり、従来の世界経済の発展に長期投資をすることが、経済理論的にも、過去の統計的なデータでも一番であるという考えは、このあたりで崩れ去るのかもしれない。

 最近は、一つの株を買うように、全世界の経済指標を買えるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ETF)等も登場し、以前よりも、格段に個人の投資環境が良くなった。また、個人でもレバレッジを掛けて、簡単に金融商品が買えるようになった。日経平均やNASDAQなどであれば、1000万円あれば、1億円くらい何の手続きもなく簡単に投資できてしまう。これは、結局、9000万円を借りているわけだが、あまりに簡単で、借りていることさえ、知らない場合もある。

 FX(通貨証拠品取引)などは、100倍まで投資ができる所は普通である。もし、1000万円入れれば、個人でも10億円まで取引できてしまう。毎日、売り買いすると、売買高として記録されるが、めいっぱいの10億円を20日間、毎日売ったり買ったりすれば、200億円の売買高が達成される。そのうち、0.05%の収益を上げられば、1000万円が得られる。これが、信用枠の魔術といえば魔術。ちなみに、100倍のレバレッジをかけるということは、1%下がると、損失も100倍であり100%のマイナスになります。つまり、全額なくなりますのでご注意を。

 ともかく、信用収縮が全世界で起きると、大変なことになる。そんな中で何を個人として、準備しておけばいいのか?判らないというのが、正直な所。せめて、医食住が確保できれば いいのかもしれない。が、結局、人間は恒常的な安定の達成など不可能である、ということを、受け入れざるを得ないような気もする。

2008/8/31 日曜日

モルディブの休日

Filed under: ダイアリー — admin @ 1:25:31

 50年後には消滅するのではないかと言われているサンゴ礁の国モルディブへ、UAのマイレッジを利用して行ってきました。ラッキーなことに、ジャンボより大きな最新のエアバスA380に乗ることができ、快適な移動が楽しめました。その上、覚悟していた燃油サーチャージは、なぜか徴収されませんでした。ただ、シンガポールまで6時間。トランジットで2時間。モルディブのマーレまで4時間。そこから、滞在先のココア・アイランドまで、スピードボートで1時間とかなり遠いです。気軽に行けるところではありませんね。

 

 ココア・アイランドは歩いて10分もかからない島で、海上コテッジが約30個と、かなりこじんまりしており落ち着ける所。コテッジからは、そのままシュノケーリングができ、魚がたくさんいるリーフのドロップオフ近辺まで20~30mと、子供も十分楽しめる場所でした。子供の夏休みの自由研究も兼ねていたので、コテッジに魚図鑑を2冊おいて、何の魚を見たか調べて記録するという作業をやらせたのですが、100種類以上は遭遇したので、かなりしんどい作業になってしまいました。リゾートで作業に没頭するというのも、何か本末転倒のような気もしましたが。。。とはいえ、調べてみると、モルディブに生息する魚のほとんどが、日本にも生息していることがわかり、結構、びっくり。日本にいない種類の魚をスケッチしてまとめさせようとしたのですが、途中でテーマを変えざるを得なくなりました。

 ところで、ホテルは、COMO HOTEL & RESORTS という英国系の企業が現在は運営しており、バリにある「COMO SHAMBHALA」や 「UMA UBUD」、ブータンにある「UMA PARO」などが有名とのこと。一応、Holisitc Health & Wellness Concept ということで、ヨガや瞑想教室も一部無料でやっていました。私は、自分の部屋で坐っていましたので、参加はしませんでしたが。。。サービス・設備は、自然に溶け込む落ち着いたもので、非常に満足いくものでしたが、食事が全てホテルのレストランで取るしかない為、かなりの出費となります。簡単なスナックも売ってないですし、しょうがないですね。

 モルディブは、国全体がサンゴ環礁で出来ていることもあり、標高が高くても2~3m程度らしく、水面の上昇があるとかなり危険な感じの場所です。数年前にあったスマトラ大地震の時は、津波で被害を受け、一時、たくさんのリゾートが閉鎖せざるを得なくなったと聞きました。温暖化による水面上昇は、いろいろな説があり、個人的にはそれほど心配していないのですが、やはり、このような美しい環境は、是非、うまく保存して欲しいですね。自分たちが行って、破壊しているではないかと批判も浴びそうですが、単に閉鎖すればいいということではなく、お金も循環する形で、うまくサステナブルな開発・維持を考えたい所です。

2008/8/10 日曜日

「H5N1型ウィルス襲来」-新型インフルエンザから家族を守れ!

Filed under: 社会 — admin @ 11:11:01

 久しぶりの投稿。数週間前だと思うが、新型インフルエンザが発生した場合の対応を、国が発表していた。CO2やエネルギー問題は、構造上の問題で根深いが、被害の大きさという点で、緊急対策が求められるのは、この新型インフルエンザであろう。

 WHOによれば、危険度(パンデミックフェーズ)を6段階で評価しているが、現在は3段階目である。「動物から人からの感染が見られるが、ヒトからヒトへの感染伝播はまだ発生していない。」とのこと。ただ、専門家によれば、世界での感染伝播(パンデミック)は時間の問題であるという。

 私は最新情報を、厚生労働省と小樽市保健所長であるこのWEBとから得ているが、厚生労働省よりも、この方の更新量、更新スピード、継続性はすごいので、是非、見ていただきたい。ページデザインや使い勝手はあまりよろしくないが。。。

 現在、東南アジアでの発生は小康状態にあり、危険性が減じているというが、致死率が異常に高く、発症した人の6割が亡くなっている。対応としては、一時期、話題になったタミフルを発症後48時間以内に摂取することである。実際、タミフルを取らなかった方は100%亡くなっている。厚生省での予測は、なぜかスペイン風邪の時と同様のたった2%を致死率として予測している(ワクチンの開発・摂取を見込んでのことであろう)。当時のスペイン風邪(風邪と言っても、実際はインフルエンザ)では、日本で4000万人が感染、うち39万人がなくなっている。

 今回、新型インフルエンザが発生した場合、感染スピードは当時とは比べ物にならないほど早いし、致死率も圧倒的に高そうである。また、重症者は、子供や老人よりも、免疫力の高い青少年であると言われる。これは、免疫系がかく乱されるサイトカイン・ストームという現象が起きるからだという。スペイン風邪も同様だったようだ。

  個人ができる対策としては、発生が確認されたら、ともかく外に出ないことにつきると言う。これに伴い食料の流通も麻痺する可能性が高く、非常食を予め確保しておく必要がある。もし、非常食がない場合、食料確保の為に歩き回ったり、人ごみの中で取り合いに参加せざるを得ない場合もある。特に、パンデミックが発生し、収まるまでに、二ヶ月ほどかかるということで、地震の備えより、はるかに多くの備蓄が必要となる。実際、そこまで準備をしている人は非常に少数であろう。このあたりは、是非、タイトルに掲げた著書を読んで、どう対応するか考えていただきたい。

 過去の歴史と現在の状況を見れば、地震よりもはるかにリスクが高いと思われる。地震はスポットであるが、新型インフルエンザは、世界のどこかで発生した場合、数日で全世界に広まってしまう可能性が高い。また、今回の新型インフルエンザは、強毒性と言われるもので、致死率が高い。扇動するつもりはないが、自分と家族を守るという観点で、一度は、勉強しておいた方がいいテーマだと思う。

2008/7/21 月曜日

「暴走する資本主義」-ロバート・B・ライシュ

Filed under: 社会 — admin @ 20:40:00

 前の投稿で、クルーグマンの書籍を紹介したが、最近、格差に関する書籍がたくさん発刊されている。その中で、感情的にならず、冷静に格差問題に関する現状をしっかり分析していると思われる良書がこれ。帯に、『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』等、ベストセラーを連発している有名コンサルタントの勝間和代氏が「最も衝撃的で、最も心を震わせて本」との評を寄せている。

 当著書は、投資家・消費者・生活者という3つの視点で、そのパワーバランスの変化を中心に分析がされている。格差が広がっている原因として、投資家と消費者が強くなり、生活者としての主張が通りにくい構造が出来ているという。実際、投資家が政治的に、大きな影響力をもってしまい、生活者の視点での政策が通らなくなっている。ところが、多くの生活者は、実は、消費者でもあり、かつ、投資家でもある。

 米国で、最大の投資家とは年金基金である。年金基金のオーナーは、実は従業員もしくは元従業員である。ところが、年金基金は、年金を継続的に出すために、投資している企業に対して、レイオフや賃金の抑制を要求せざるを得ない。また、有能な経営者の相場は上がっており、利益を出すのであれば、積極的に報酬を出さざるを得ない。 たとえ格差が開いても、そうせざるを得ない状況がある。

 WALMARTは、健康保険問題や給与水準について、かなり叩かれているが、一方的に、悪徳企業であると言えるのか?著者は、消費者はWALMARTを支持しているし、投資家も支持している。ところが、その消費者は、同時に、年金基金を通した投資家でもあり、生活者でもある。このような状況で、一方的な責めができるのか?と問う。

 本来やるべきことは、一企業を責めることではなく、競争のルール、賃金の最低保証、健康保険の制度等を生活者の視点も考慮し、政府が法律を規定することにあるという。ただ、現状、企業・投資家のパワーバランスが圧倒的に強くなっており、生活者の視点を考慮したルール作りができなくなっている。

 昨今、CSRや公器としての企業という考え方が流行しており、政府ではなく、企業が社会を良くできるのだという考えが流布しているが、著者は、そのようなことは、実際、機能しているという証拠はないし、逆に、政府による共通したルール作りを阻んでいると主張している。

 なかなか冷静な分析である。当親サイトのインテグラル理論の創始者であるケン・ウィルーバーも、社会にはいろいろなレベルの人間がおり、善意に頼った行為で世界が変えられるなどという安易な考えは持たない方がいいと言っている。

 この著書で明確な結論は提示されていないが、法律を変革する政治家として、市民が誰を選出するかが重要であるということが、示されているようだ。民社主義の基本が、うまく機能できなくなっているということであろう。ただ、豊富な選挙資金によるメディアコントロール、イメージコントロール、計算された話術など、ハリウッドのノウハウを投入してくるような行為に対して、市民が本質的な判断ができるようになるのだろうか。それ相応の教育が必要なのかもしれない。

2008/7/20 日曜日

「格差はつくられた」保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略

Filed under: 社会 — admin @ 22:44:34

 経済学者であるポール・クルーグマン教授の新刊。日本でもここ数年格差社会が取り沙汰されているが、格差の原因は、グローバル化でも、技術革新でもなく、社会制度の在り方の問題である、つまり、政治の問題であるという主張。我々は、格差社会は、経済の進展により発生していると思っていた。ところが、そうでなはないということを、わかり易く解説している。

 クルーグマンによれば、共和党が、金持ちの利権団体および人種差別の先鋭となり、小さな政府を作ってきた。それにより、格差社会が起きてきたという。明らさまには言わないが、低所得移民であるヒスパニックや黒人の生活保護・医療の為に、なぜ税金を使わなければならないのか?そんなことは心情的に許せない!という意識をうまく利用してきたのだという。

 ただ、ここにきて大きな流れが変わりつつある。それは、白人の人口比率が落ち続けていること、また、白人でも多くの人が、人種差別はまずいのではないか?低所得層をケアしないのはまずいのではないか?ということを、頭ではなく体でやっと感じ始めたことである。

 日本はどうか?日本は、米国の価値に習い、小さな政府こそ善である、民への政治的な介入は、基本的に良くないことであるという意識が、ここ10数年、国民全体にかなり浸透してきたように思う。また、日本も、米国同様、中流が崩壊し、勝ち組・負け組が分かれる国になった。クルーグマンによれば、米国での勝ち組・負け組は、政治により作られたということだ。日本もそうだとしたらどうだろう。そうだとしたら、逆に、政治により、この問題を解決できる可能性もあるということだ。

 ちょうど当親サイトの代表である鈴木が、BLOG上で政治について触れているが、我々は、あまりに、政治を疎んじてきたのかもしれない。インテグラル理論で言えば、右下象限、つまり、社会システムや法律の変化が、個人の行動や社会規範よりも、大きな影響力を持つという。社会システムや法律により、ビジネスの構造も規定され、それに応じた価値観も形成されていく。その中で、はじめて個人のアイデンティティーが育まれ、行動が起きているわけだから、その影響は大きいと言わざるを得ないだろう。

 この著作は、米国の社会分析であり、日本にも当てはまるのかどうかは判らないが、格差社会について興味がある方は、是非、読んでいただきたい一冊である。ただ、共和党・民主党がクルーグマンが言うほど、白黒はっきり分かれているのか、ちょっと疑問もあるが。。。

2008/6/27 金曜日

ガンとGI指数(グリセミック・インデックス)の関連性

Filed under: ヘルス — admin @ 0:28:06

 もう10年前くらいになるだろうか?GIダイエットなる物が流行った。確か永田教授という方が提唱されたように記憶している。GI値とは、糖の吸収スピードを表す。一般的には、ブドウ糖の吸収スピードを100として、それに比べて、どの程度、遅くなるかという指数である。GIダイエットでは、GI値が低い食品を中心に摂取することで、あまりカロリーを気にせずとも、痩せられるという考え方である。

 GI値は、白パン>白米>玄米>蕎麦>肉類>・・・みたいな感じ。白パンはGI値が100に近く、さけるべきものの一つである。米国でも、似た考え方があり、数十年前、アトキンソン・ダイエットというものがあった。これは、炭水化物(GI値が高い)を避け、たんぱく質と脂肪を中心に取れば、カロリーは全然気にする必要がない。という大胆な考え方である。

 その後、もう少し炭水化物を取っていいダイエットとして、ゾーン・ダイエット、4:3:3ダイエットというものが出てきた。さらに、数年前には、サウス・ビーチ・ダイエットというオシャレな名前で、似たような物が登場した。これは、日本でブームになるかと思ったのだが、なぜか、輸入して広められることがなかった。一般的に、このような食事法は、ローカーボ・ダイエットと総称される。低炭水化物・高タンパク食。

 これに対して、肥満による心臓疾患に対する療法としては、高炭水化物・低脂肪食が以前は推奨されていたようである。ただ、適切な量の脂肪がないともろい血管になるといわれる。また、筋肉はたんぱく質であり、やはり適切なタンパク質の摂取も絶対に必要である。

 結局、栄養はバランス良く取らないといけないという一般的な結論なのだが、GI値については、高いものを単品で取り続けると、長期的に害があると言われていた。糖尿病になりやすい、太りやすいということである。ただ、ガンとの関連性があるという話は、いままで、ほとんど聞いたことがなかった。

 ところが、『American Journal of Clinical Nutrition』6月号で、ガンとの関連性があるという論文が出たとのこと。これは、既存の39本の論文をメタアナリシス(統計処理)をかけた結果、GI値とガンの関連性があるという結果が出たという。(統計的に有意ということ)栄養学の知識は常に更新されており、ほんとに、判ってないことの方が多いように思う。

 ビタミンEでさえ、最近では、大規模な調査の結果により、サプリメントで摂取した場合、効果があるのかどうか疑問があると言われている。実際、寿命が多少縮む方向であったという驚くべき結果もあるようだ。また、野菜とガンとの関連性も疑問がもたれているという論文もあるらしい。

 いろいろと見ていくと、ガンになるリスクを減らすという点では(あくまでリスクを減らすのみ)、適切な運動、肥満にならない、ストレスコントロールがあり、その後、食事の内容という感じだろうか。疫学的な検証がしっかりされていない俗説を信じて、いろいろやるのも健康オタクとしては楽しい気もするが、結果、お金と時間の無駄になる可能性が高い。現実的には、あまり情報に振り回されず、自分自身をしっかり生きることに時間を使った方が賢いように思う。自戒をこめて。。。

 

2008/6/21 土曜日

「地球最後のオイルショック」-ディヴィッド・ストローン

Filed under: 社会, エコロジー, サイエンス — admin @ 22:24:45

 原題は、「The Last Oil Shock」である。著者は、BBCの番組制作を手がけるジャーナリストであり、綿密な調査をもとにビジネスや科学における複雑な問題を、わかり易く解説するのが得意とある。確かにわかり易く、かつ、論旨がしっかりしている。

 著者は、番組制作者ということもあり、「ピーク・オイル」という言葉が、実態の危機を正確に表していない為、あえて、「最後のオイル・ショック」であると表した。実際、原油の産油量は、埋蔵量の50%を産出した後は、圧力が落ち、産油量が減っていくという。米国は、既にこの事態を迎え、産油量が減じている。また、北海油田を含めて、既にピークアウトした油田は非常に多い。クウエートは72年に、イランは74年に、インドネシアは77年にと、60ヶ国以上が、既に産油量を減じている。

 もし、需要の増加に対応できる産油量が確保できなければ、パニックや暴騰が起きる。これが一般的なオイルショックである。ここで言うオイルショックは、需要が増加しているのにも関わらず、増産させることができないばかりか、逆に、年率3%~5%程度、産油量が継続的に減じてしまうことを言っている。一度、ピークアウトした場合、復帰することはありえないので、地球最後のオイルショックとなってしまう。

 このピークオイルがいつかという議論は、思った以上に、狭い範囲に収束している。つまり、既に、今、起こっている可能性から、長くても15年以内というのが、大部分の科学者の予想である。

 著者によれば、非在来型原油や代替エネルギーとも、開発の進捗を見る限り、ピークアウトを補完できる状況にはまだないと言う。特に、輸送系の動力源のシフトは難しいという。唯一ありえるのは、全世界で、一人当たりのエネルギー消費量に枠を設けることであると著者は主張する。枠が余ったら売る。枠を使ってしまったら買う。という排出権取引と同等のことを行い、全体の消費総量をコントロールするのが、一番、効果的であり、現実的であるという。

 この書籍は、新潮選書から出ており、1500円という価格であり、石油を取りまく、状況を俯瞰できる良書なので、是非、読んでもらいたいと思う。それにしても、なぜ、温暖化については、これほど騒がれるのに、もっと早く、大きな問題になり得るピークオイルの議論がしっかりされないのか、非常に、不可思議である。

次のページ »

HTML convert time: 1.368 sec. Powered by WordPress ME