ITP紹介 第1回 「脱皮する快感」は苦痛もともなう!?
〜 構造的成長を支援するITP〜 

藤井 ゆき

「『脱皮する快感』は、苦痛もともないます」

 

 これは、たまたま、ある雑誌で見かけた言葉なのですが、ITPの目指す「変容」(構造的な成長)についても、この言葉がちょうどあてはまると思います。


 構造的な成長は、新しい段階に自分を変化させることです。しかし、それは、これまでの安定した自己を脱ぎ捨てることでもあるので、同時に危険や苦しみもともなうものでもあります。


だからこそ、適切な支援(サポート)と挑戦(チャレンジ)を与える、良質なコミュニティが必要となるのです。


 誰でも、辛さや苦しさを乗り越えて成長した経験のひとつやふたつは持っているでしょう。
あるいは、現在、その辛さのまっただ中にいるという人もいるかもしれません。そういう人は、もしかしたら、今がその適切な支援を受けるべき時かもしれません。
また、今の自分に満足できないと思う人も、今が成長するチャンスかもしれません。


 ITPは、自己成長のための実践活動を定期的に共有することを通して、相互に支えあうことを目的としたコミュニティです。


 ITPは、ともに成長を目指すという意思を持つ人に対して開かれています。ITPの目的を理解したうえで、うまく活用していただければと思います。

 

 あることが縁で、ITPという活動に参加しています。これが、なかなか面白いのです。この時代に、日本に生まれて、こうしてITPの活動に参加できることは、とてもラッキーなことかもしれないと思い始めました。

 

 様々な習い事やワークショップなど、巷にはいろんな活動に関する情報があふれています。


 しかし、このITPのようにユニークなものには、これまで出会ったことがありません。


 自分の成長に向けて、真剣に考えている人。今、直面している壁を乗り越えて、大きくなりたいと考えている人。


 そんなあなたのために、この場をお借りして、ITPの特徴とその内容について、少しずつ紹介してみたいと思います(ITPの理論的な枠組みについては、鈴木 規夫さんの「統合的変容のための実践 (Integral Transformative Practice):トランスパーソナル思想の統合的実践のための理論的枠組」をご参照ください。ここでは、あくまでも感想も含めて、個人的な観点からITPについて述べさせていただきたいと思います)。



ITPについて


 ITPって何でしょう。聞いたこともないという方もいらっしゃるかもしれませんね。


 ITPの集まりは、一言でいうと、「自己成長のための実践活動を共有する共同体」だと思います。


 ITPについて、ホームページの説明には、「ITPとは、統合的成長のための実践(Integral Transformative Practice)の略語」だとあります。


  "integral"は、「統合的な」という意味です。動詞の"integrate"は「まとめる、統合する」という意味で、英語ではわりと一般的によく使われる語のようです。


 

"transformative"というのは、直訳すると「変容、変化させる」ということですが、これは人間が、意識の構造を変えて成長することを表しているそうです。


"practice"は、実践。


 つまり、人間が一面的ではなく、いろんな面でバランスよく成長することを目指したい、そのために必要な実践をしていこうということですね。


 これまで、人間的に(特にスピリチュアルな面で)成長するために何が必要なのか、そのための具体的な方法は何かを包括的に示し援助を行ってくれる優れた組織は、なかなかなかったと思います。


 その意味で、ITPは画期的だと言えます。

 ITPは、人間がバランスよく成長していくための方法を具体的に示し、支援してくれるのです。


 ITPの特徴のひとつは、「あれか、これか」でなく、「あれも、これも」だと言えます。"Body, Mind, Soul, Spirit"という4つの領域すべてに関わる実践を行っていくのです。


 そして、ここでは、何でも解決してくれる万能な指導者も、偉そうな師もいません。どんな実践を選ぶかは、自分で考えてデザインできるのです。


 ITPの実際の運営については、インテグラル・ジャパンを主催している鈴木 規夫さんがリードをしてくれます。インテグラル思想の専門家として、必要に応じて適切なアドバイスや援助を与えてくれます。


 ITPについて、ホームページにはさらに「ITPは、自己成長のための実践活動を定期的に共有することをとおして、相互に支えあうことを目的とするコミュニティです」とあります。


 具体的には、どういうことなのでしょうか。


 「自己成長を目指す。そのための実践活動を各人が行う。」ここまではいいでしょう。


 「自己成長のための実践を行う人々が集まり、定期的にその実践を共有する。」


 つまり、お互いに自らの実践や現状について紹介し、伝え合い、対話をします。


 「それらを通じて、相互に支えあう。」


 考えてみると、同じように成長を目指す仲間がいれば、困ったことや、わからないことについては、教えあうことができます。そして、歓びは分かち合い、刺激を受けてともに学ぶことができます。


 つまり、ITPは、お互いの癒しと成長を促し、ともに成長することを目指すコミュニティといえると思います。


 ITPでは、普段は自分がいいと思うさまざまな実践を各自が行っています。そして、定期的に(現在は二週間に一度です)、メンバーが集まって、みんなで(例えば瞑想やボディワークなどの)有効な実践を行ったり、対話を行ったりして現状や問題を共有し、お互いに成長を促しているのです。


 ITPでは、現在、3ヶ月をひとつの単位としています。テレビのワンクールも3ヶ月ですが、冬から春へ、あるいは春から夏へというふうに、季節から次の季節に移る期間を共有するわけですね。


 成長のための実践を行う、ありそうでなかなかない貴重な集まり。それが、ITPに対する私の第一印象でした。



実践について


 ところで、どうして実践にこだわっているのでしょうか。


 この活動のベースになっているのが、アメリカの思想家、ケン・ウィルバーの提唱しているインテグラル思想というものです(ケン・ウィルバーおよび、インテグラル思想については、詳しくは、「ケン・ウィルバーについて」「ケン・ウィルバー紹介」「インテグラル・アプローチにおける「永遠の哲学」と「新・永遠の哲学」をご覧ください)。


 ITPの説明にも、「インテグラル思想は、実践と研究という両方の要素を重視する実践思想です。これらの要素は、相補的なものとして、人間の成長のために必要な活動ということのできるものです」とあります。

 つまり、人間が成長するためには、研究(理論)と実践の両方がバランスよく行われることが必要だということなのです。


 例えば、難しい本を読んで理解したつもりになっても、表面的に理解しただけでは、一時的な変化で終わってしまいますよね。やはり、自分の身体や意識そのものが変わらないと、根本的には、なかなか変わることができないものなのではないかと思います。


 人が自分を大きく成長させていくためには、頭を働かせたり考えたりするだけではなくて、具体的に何らかの実践を行って自分を変えていくことが不可欠です。そのために、ITPでは実践を成長に欠かせない要素として、重視しているのです。


 では、ITPで目標とされる成長とは、どういうことなのでしょうか。



成長について


 ITPが目指すのは、人間的な成長です。


 しかし、「成長って、どういうこと?」「成長って、そんなに簡単に実現できるの?」という疑問を持つ人がいるかもしれません。


 ITPで考える成長には、二種類あります。「翻訳」と「変容」です(英語を訳した言葉なので、はじめはちょっとピンと来にくいかもしれませんが、お許しください)。


 それぞれの意味を説明すると、次のようになります。

 

 「翻訳」(translation)とは、個人が現在持っている意識構造の範囲内で可能な成長・治癒を達成すること。

 「変容」(transformation)とは、個人が持っている意識構造を段階的に変容すること。


 実は、インテグラル思想では、発達心理学に基づき、人間の段階的な成長の可能性を前提としています。


 つまり、よちよち歩きの赤ちゃんが大人になるまでの過程に発達の段階があるように、大人になってからも成長の段階があると説明しているのです(この部分は、非常に興味深いところです)。


 人間が自分の意識の構造を変えて、成長するということは、一筋縄ではいかない、大変なことだといえます。しかし、ITPでは、癒しの大切さを認めるとともに、最終的には、この難しいが価値のある「変容」(構造的な成長)を目指していきます。


 巷には、耳ざわりのいい癒しの言葉を与えてくれる指導者や、一時的に高揚した良い気分にさせてくれるワークショップなどが、たくさんあふれています。しかし、それらの多くは表面的な癒しや、ほんのわずかな成長のみを与える「翻訳」に過ぎないのではないでしょうか。


 では、ITPの目指す「変容」とは、どんなものなのでしょうか。



「『脱皮する快感』は、苦痛もともないます」


 これは、先日たまたま、ある雑誌で見かけた言葉です。しかし、ITPの目指す「変容」(構造的な成長)についても、この言葉がちょうどあてはまるのではないかと思います。


 「変容」(構造的な成長)は、通常、長い準備期間を経たのちに起こるそうです。「変容」は、新しい段階に自分を変化させる、大きなチャンスであると言えます。


 しかし、これは、これまでの安定した自己を脱ぎ捨てることでもあるので、同時に危険や苦しみもともなうものなのだそうです。


 例えば、自分の見たくない一面と向き合うこと。世の中に存在する眼を背けたいような物事について、とことん考えること。


 精神・頭・心・体などに関する活動の中で、自分が避けてきたものに取り組むこと(私だったら、体を動かすことかな。できれば避けたいと思ってずっと避けてきましたが……。しかし、見ていると、エネルギーが落ちてきたときには、そういう自分が避けてきた弱い部分からバランスを崩してしまうことが多いんですよね)。


 このような、逃避せずに自分と向き合い、自分の「影」と直面するような実践の中では、当然、辛さや苦しさも感じることが考えられます。


 だからこそ、適切な支援(サポート)と挑戦(チャレンジ)を与える良質なコミュニティが必要になってくるのでしょう。


 構造的な成長を目指すことは、大変なチャレンジです。しかし、それを乗り越えた人だけが、これまでとはまったく新しい高みからの視座を得て、成長した意識構造からの「新たな景色」を眼前にすることができるのではないでしょうか。


 もちろん、「私はそんな苦しいことはいやだわ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。


 しかし、誰でも、辛さや苦しさを乗り越えて大きく成長した経験のひとつやふた つは持っているのではないかと思います。


 現在、その辛さのまっただ中にいるという方もいるかもしれません。そういう方は、今がその適切な支援を受けるべき時なのかもしれません。


 また、いろんなことにチャレンジしてきたけれど、今の自分に満足できないと思う方も、もしかしたら、今が成長するチャンスかもしれませんね。


 ITPは、自己成長のための実践活動を定期的に共有することを通して、相互に支えあうことを目的としたコミュニティです。


 「変容」(構造的な成長)をもたらすには、本人の意図と継続的な実践が必要です。


 ITPでは、成長を促すための、具体的な方法が示されます。と同時に、その変化を支援するコミュニティ(共同体)が同時に準備されているのです。そこが、ITPのたいへん優れた点だと思います。(しかし、そのコミュニティも、一人一人が参加することを通して、ともに作っていかなければならないものではありますが……。)


 ITPは、ともに成長を目指すという意思を持つ人に対して開かれています。ITPの目的を理解したうえで、うまく活用していただければと思います。


 ITPがどんなところなのかはわかったけれど、具体的にはどんなことをやっていくのだろう……。


 ITPについて、もっと知りたいと思いはじめた方もいらっしゃるでしょう。


 そんなあなたのために、次回はITPの具体的な実践内容について、「"Body, Mind, Soul, Spirit"を統合する実践」を中心に、ご紹介しようと思います。


 もし、ここまでの内容についてご質問などがございましたら、どうぞお気軽に藤井宛にご連絡ください。お待ちしています。


 それでは、みなさん、次回まで、充実した時間をお過ごしください。