インテグラル・エジュケーション研究会_2015〜2016

ビジョン・ロジック段階の知性〜国際バカロレアをヒントに

*印刷用PDFのダウンロードはこちら *2015 年度版です  

開催日: 

 特別セッション:4月24日(日曜日)13:30〜16:30

申し込み方法:

御申込は、下記のフォームよりお願いします。

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資料・講義録:*2015 5/11更新

第1回分 講義録・配布資料
 
「第1回インテグラル・エジュケーション研究会議事録」   
  「第 1回インテグラル・エジュケーション研究会配布資料」  
  >(第1回に参加できなかった方には、これらの資料を読んでからの参加を促したいと思います。

第2回分 講義録・配布資料
 
「第2回インテグラル・エジュケーション研究会議事録」   
 
「Vision Logic段階への道程」    

1. はじめに

昨年2014年度の当研究会では、個人の能力や可能性を最大限に引きだすための教育理論や実践法について幅ひろく検討してきました。


しかし、これまでのように、単に個人の立身出世(「成功」や「成長」)を実現するためのものとして教育をとらえるだけでは、結局のところ、教育というもの を 個人の利己的な欲求を追求するための道具に貶めてしまうことになります。そして、そのように教育を道具化することは、今日、熾烈化している個人間の経済的 な競争をますます激化させ、結果として、格差をいっそう拡大させてしまうことになりかねません。また、今日、惑星規模で安全保障環境や生態系の不安定化が 進行する中において、そのような個人としての立身出世を賭けたゲームに邁進することは、いずれは無意味化することになります。


そのような時代状況においては、必然的に、個人の成功や成長だけではなく、わたしたちを取り巻く社会や、環境や、時代というものに対して関心を払うことの できる知性を育成することが、教育に求められることになります。とりわけ、次世代の教育に携わる「教育者」自身がそうした知性を己の中に涵養することは、 今後、真に教育者として指導力を発揮していくうえで必須の条件となります。


たとえば、現在、教育界で注目と期待を集めている国際バカロレアでは、下記のテーマについて深く思考することのできる知性の育成をその重要目標として掲げ ています。

  • 私たちは誰なのか
  • 私たちはどのような時代と場所にいるのか
  • 私たちはどのように自分を表現するか
  • 世界はどのような仕組みになっているのか
  • 私たちは自分たちをどう組織しているのか
  • この地球を共有するということ


このような問題に対して意識を向けることのできる知性とは、どのようなものなのでしょうか?


思想家のケン・ウィルバーが提唱しているインテグラル理論では、上記のような多様な文脈に意識を向け、統合的に世界を把握することのできる知性を Vision Logicと名付けています。


Vision Logic段階の知性を特徴づけるのは、異なる文脈間を自由に行き来できる柔軟な精神です。たとえば、今日の社会には、現状に疑問を持ち、既存の発想や価 値観を乗り越えようとする新たなこころみが至るところで生まれていますが、そうしたこころみの多くは、えてして社会のメインストリームに背を向けて、小規 模の自閉したコミュニティーの中で営まれる傾向にあります。そのために、そうした実践は、それがいかに価値あるものであっても、社会を変えるだけのインパ クトを持てないのです。


こうした状況の中で必要とされるのは、これまで社会で主流をなしてきた価値観とオルタナティヴな価値観の両方に身を置きながら、そのどちらをも対象化でき る俯瞰的な視座です。それは、自身が信奉している価値観や真実が、あくまでも特定の文脈において妥当性を持つ限定的なものでしかないことを認識できる能力 であり、また、そうした俯瞰的な枠組みをとおして多様な文脈に参入できる能力でもあります。目のまえで展開している世界を複数のレンズをとおして多面的に 観察・体験することをとおして、世界のありのままの複雑性を尊重しようとするのです。


Vision Logic段階の知性とは、こうした絶え間のない知的探求にとりくみつづけることのできる知性であるといえます。そして、そうした知性は、わたしたちの精 神と行動を柔軟で自由なものにしてくれます。


2015年の研究会は、参加者がそうした精神の柔軟性を獲得するための支援をすることを意図しています。わたしたちが教育者として新しい時代を生きる人材 を育成することができるために、先ずはわたしたち自身が新しい時代の知性を獲得する必要があるのです。


そのためのエクササイズとして、2015年度の当研究会では、知性の高度な発達段階としてのVision Logicの発想法・思考法を用いて、国際バカロレアが掲げている6つの問いを探求していきます。その際の情報整理のフレームワークとして、ウィルバーの 考案した AQAL(=全象限・全段階)を活用します。また、教育に関する理論としては、主に成人の成長・発達に関する最新理論を紹介します。それらの理論は、参加 者が開催期間を通して実際に歩んでいくことになる成長の道筋を示す見取図となるはずです。


参加者の方には、この研究会での学びを通して、高次の知性の段階としてのVision Logicを是非とも自分のものにしていただきたいと思います。

 

2. Vision Logicとは

この研究会に参加することをとおして、参加者の方々には下記の能力の獲得を目ざしていただけます。

  • より大きな文脈に自己を位置づけて、本質的な探究にとりくむ能力

わ れわれのアイデンティティは重層的なものです。われわれは家族や組織の一員であると共に社会や歴史や生態系の中に位置づけられた存在でもあります。そし て、われわれはそれぞれの文脈の中で異なるアイデンティティをあたえられ生きていくことになります。しかし、現代社会では、われわれは往々にして経済人と しての自己を全うすることにエネルギーの大半を費やしてしまい、より大きな文脈に意識を向け、その中であたえられる責任を果たすことを疎かにしてしまいが ちです。Vision Logic段階の認知構造を獲得することにより、目の前の生活に没頭するあまり、気づかないうちに無視してきた本質的なテーマにたいして意識を開いていく ことができるようになります。

  • 多様な学問領域を受容・統合することをとおして、あらたな知を創造する能力

世 界には実に様々な学問領域が存在しますが、Vision Logic段階の認知構造は、そうした多様な学問領域の全てを意義あるものとして受容・統合するための枠組を提供してくれます。これは、自身の専門領域を 超えて、複数の領域の理論や実践を同時に探求することを可能とすると共にわれわれにそうした横断的な探究をとおしてあたらしい知を創造するための能力をも たらしてくれます。

  • 対極性を包含するダイナミックな思考力

Vision Logic段階の意識は、相反・対立する価値観のいずれに対しても共感的であり、また、批判的であることができます。それは、多様なレンズをとおして世界 を観察することができるために、ある特定の主義・主張を絶対化して信奉することによる視野狭窄からわたしたちを解放してくれます。また、それは、対立性を 世界の本質として受容することをとおして、世界をそのありのままのダイナミクスの中にとらえることを可能にしてくれます。

  • 自己の根源的な声を発見・表現する考力

Vision Logic段階は「実存的段階」ともいわれます。それは、「心」と「体」を統合する段階であり、また、自己の存在の根源に息づく衝動や欲求を社会的な文脈 の中で果敢に、そして、的確に表現していく意志と叡智と活力を獲得する段階です。これは、わたしたちに自己の存在の全てを自己の真実の表現のために駆使す ることを可能としてくれます。

 

3.各回の概要と課題資料


課題資料は「初級者向け」「中級者向け」「上級者向け」の3つのレベルに別けてあります。参加者には、その中から御自身のレベルに相応しいものを選んで、 読んでいただきます。


★印を付しているものは、特に強く推薦する資料です。各回のコンセプトを理解していただくうえで最良の資料として 位置づけていますので、★が付いている資料にはできるだけ目を通していただければと思います(もちろん、すべて読み切ることは難しいので、可能な範囲で構 いません)


付属参考資料は、映画や小説を中心に構成されています。これらは研究会の主題をさらに具体的に理解するためのものです。これらの中から、興味・関心にもと づいて、少なくともひとつは鑑賞するようにしてください。

終了した催しはこちら



<LL - 左下象限・集合の内面・“We”>(第8回、第9回)

第9回 私たちは自分たちをどう組織しているのか

・他者との対話・協働・連帯をとおして共同体を組織していく
・組織論
・戦略論
・主体的な共同体の構築に関して(北欧の成人教育)

参考図書

★ウッディー・ウェイド『シナリオ・プランニング』英治出版(初級)
★神野 直彦『人間回復の経済学』岩波新書(初級)
・ジョン・コッター『企業変革力』日経BP社(中級)
・アリー・デ・グース『企業生命力』日経BP書店(中級)
・ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー』日経BP社(中級)
・ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー2』日経BP社(中級)

付属参考資料

・『ミツバチの羽音と地球の回転』(鎌仲 ひとみ)(DVD)

特別セッション:4月24日(日曜日)13:30〜16:30

4月のインテグラル・エジュケーション研究会は、3月に『なぜ部下とうまくいかないのか』(日本能率協会マネジメントセンター)を出版された発達心理学者の加藤 洋平氏を御招きして、出版記念特別セッションとして開催します。
 
加藤さんは、合衆国のJohn F. Kennedy大学でKen Wilberの提唱する統合心理学(Integral Psychology)を研究したあと、Robert Kegan・Otto Laske・Kurt Fischerをはじめとする今日の発達心理学の重鎮のもとで研鑽を重ねています。また、現在は成人期の発達を主な研究課題として、執筆や翻訳、及び、企 業組織における人材開発にも携わっておられます。
今回の特別セッションでは、上記の著書の内容を御紹介いただきながら、発達心理学の知見を個人の能力開発や組織開発に応用していくための方法について実践 的な議論をしていただきます。教育関係者の方や企業で人材育成に携わっておられる方には、奮って御参加いただければ幸いです。
 
著者メッセージ:「本書は、近年注目を集めつつある成人発達理論を対人支援の場で活用していただくことを意図した、ストーリー仕立ての実践書です。企業組 織において人財開発に携わっておられる方、コーチングやサイコセラピーなどの対人支援に携わっておられる方、教育関係の方などに発達理論の枠組みを獲得し ていただけることを願って本書を執筆しました」
 
加藤 洋平(カトウ・ヨウヘイ)さん
最新の成人発達支援の方法論によって、企業経営者、次世代リーダーの人財育成を支援する人財開発コンサルタント。知性発達科学者として成人発達に関する学術的な探求にも従事。
一橋大学商学部経営学科卒業後、デロイト・トーマツにて国際税務コンサルタントの仕事に従事。
退職後、米国ジョン・エフ・ケネディ大学にて心理学の修士号を取得。

《AQAL - 全象限・全段階統合 - 統合》
第10回:この地球を共有するということ

・統合的実践(Integral Life Practice)
・時代の集合的な課題・問題

参考図書

★ケン・ウィルバー『実践 インテグラル・ライフ』春秋社(初級)
★鈴木 規夫『インテグラル・シンキンング』コスモス・ライブラリー(初級)
★デニス・メドウズ『成長の限界』ダイアモンド社(中級)
★ヨルゲン・ランダース『2052:今後40年のグローバル予測』日経BP社(中級)
・アラン ワイズマン『滅亡へのカウントダウン』早川書房(中級)
・OECD教育革新センター『学習の本質:研究の活用から実践へ』(第3・5・13章 & 付録)明石書店(中級)

付属参考資料

・『インターステラー』(クリストファー・ノーラン)(DVD)
・『ザ・ロード』(ジョン・ヒルコート)(DVD)
・『トゥモロー・ワールド』(アルフォンソ・キュアロン)(DVD)
・『100,000年後の安全』(マイケル・マドセン)(DVD)

<特別セッション>

上記の全10回の研究会にくわえて、ゲストを御招きしての「特別セッション」を3回程度開催します。内容が確定次第、改めて告知を いたします。どうぞ御期 待ください。

4. 課題資料に関して


2014年度の研究会では課題図書の数を絞りましたが、今年度の研究会では、意図的に書籍や映像をとりあわせて数多くの課題図書を設定しています。これ は、今年度は、高次の発達段階(Vision Logic)の開発を目ざした成人期における教育のあり方を展望するという主題を設定しているためです。


Vision Logicとは、ひとつの認知構造の形態であり、あくまでも情報を解釈・咀嚼するための機能に過ぎません。高次の認知構造がそれに相応しい深い知識や叡智 や洞察を生みだせるためには、それを適用する素材を豊富に用意しておく必要があります。いかに優れた認知構造があっても、知識や情報が貧困であれば、それ は無用の長物となりかねないのです。


このために、今年度の研究会では、現代の生存状況を俯瞰的にとらえるために最低限必要と思われる基本的な文献を紹介する意味も込めて、少し多めに課題資料 を設定しています。ただし、参加者の方々には、開催期間中にその全てを読むのではなく、当告知内のガイダンスを参考にして、それらの中から適当なものを選 んでとりくんでいただくことになります。

5. 参加条件:18歳以上の方


6. 開催日時

 
2016年度

 特7回 : 1月24日(日曜日)13:30〜16:30
   
 特8回 : 2月27日(土曜日)13:30〜16:30 
 特9回 : 3月20日(日曜日)13:30〜16:30
 特別セッション:4
月24日(日曜日)13:30〜16:30


7. 会場 会場名 住所:株式会社トモノカイ

東京都渋谷区渋谷2丁目-14-13 株式会社トモノカイ 岡崎ビル3階 

*2015 年10月の研究会より、会場を渋谷・岡崎ビル3階に変更させていただきますのでご注意下さい。
これまで研究会を行っていた渋谷SSビルの3
軒 隣(渋谷駅方面)にあるビルとなります。
住所は東京都渋谷区渋谷2丁目14−13 株式会社トモノカイ 岡崎ビル3階 となります。
https://goo.gl/QeXZiw


8. 主催:インテグラル・ジャパン


9. 講師:鈴木 規夫 & 後藤 友洋


10.参加費:各回3,000円(会場で徴収します)


年間パス - 2万5千円(第5回開催時まで購入可能)
申し込み方法:第5回までのお申し込み、及び年間パスのご購入は以下のフォームよりお申し込みいただけます。
http://urx2.nu/gXFY
※第6回以降のお申し込みについては、日程が確定次第、追ってお知らせします。


11.講師プロフィール


鈴木 規夫 1972年生まれ。California Institute of Integral Studiesで博士課程を修了(Ph.D. East/West psychology)。企業で人材育成と組織開発に携わる傍ら、インテグラル・ジャパンの代表としてケン・ウィルバーのインテグラル理論普及のための活 動を展開している。主な著書に『インテグラル・シンキング』(コスモス・ライブラリー)、『インテグラル理論入門』(I & II)、訳書にケン・ウィルバー著『実践 インテグラル・ライフ』(春秋社)がある。

後藤 友洋
1983年生まれ。法政大学キャリアデザイン学部卒。民間教育機関にて、小学生から高校生まで、幅広い年齢層を対象に教育活動を行う。一方で、ケン・ウィ ルバーのインテグラル理論を活用しながら、人間の統合的な成長のあり方について、理論的な探求を続けている。


12.連絡先: