Integral Japan Mail Magazine Vol.55

******************************************************************
          Integral Japan Mail Magazine
             No. 55 (2012/01/10)
******************************************************************
-----INDEX---------------------------------------------------------
【1】新年の御挨拶〜インテグラル・ジャパン総合研究所代表・鈴木 規夫より〜
【2】イベントのご案内
【3】インテグラル・コミュニティのその他の動き(他団体主催イベントのご案内)
--------------------------------------------------------------------

皆様、こんにちは。新年第一号のメールマガジンです。昨年の大震災もあり、
多くの方が特別な感慨をもって迎えられた新年ではないかと思います。今号で
は、弊研究所代表・ 鈴木 規夫の御挨拶をお送りいたします。

【1】新年の御挨拶〜インテグラル・ジャパン総合研究所代表・鈴木 規夫より〜

あけましておめでとうございます。2012年がみなさまにとり平安と祝福にあふ
れた年となることを心より御祈りいたします。

2011年はわたしたち日本人にとり歴史的な年となりました。3月11日に発生し
た東日本大震災は、わたしたちが享受してきた日常を根底から揺さぶることに
なりました。それは、それまであたりまえのものとして存在していた日常が、
一瞬のうちに失われてしまう実に儚いものであることをわたしたちに示してく
れました。

東北地方を襲った巨大津波にくわえて、今日までつづく福島第一原子力発電所
の過酷事故は、この世界が人智をもって完全に制御できるものだというわたし
たちの錯覚を完膚なきまでに打ち砕きました。また、同時に、わたしたちは、
こうした非日常的な危機的状況に対応するために必要とされる透明性ある情報
公開制度が、日本においては、あまりにも脆弱なものであることを思い知らさ
れました。とりわけ、福島原発の過酷事故をめぐっては――たとえば、speedi
の測定結果や炉心溶解の発生に関する情報隠蔽にみられるように――報道機関
を動員したあからさまな情報操作に翻弄されつづけました。

インテグラル理論においては、合理性段階の意識構造を社会に確立するために
は、全てのタブーを排してあらゆる情報を共有しながら批判的な検討や討議が
公の空間でできるための文化的な条件が保障されていることが必須条件となる
といいます。その意味では、今回の東日本大震災後、今日に至るまで日本国内
の言論空間を支配している行動論理とは、合理性段階以前のものであるという
ことができます。即ち、「安全神話」ということばに象徴されるように、「権
威的存在」(例:治世者・官僚・識者・専門家)によって発信される「情報」
を無謬のものとして無批判に受容してしまう神話的合理性段階の行動論理が、
微動だにすることなく、集合意識の中に機能していることが露呈されたのです。
こうした状況を踏まえると、統合的(インテグラル)な発想を可能とするVision
Logic段階の意識構造が集合的に共有されることなど――たとえそれがいつか
実現されるとしても――遥か遠い将来のことだといわざるをえません。

たしかに、今日、社会には高度の電子情報網が整備され、合理性段階の意識を
集合規模で確立するための基盤が整備されてはじめています。しかし、それは
あくまでも非常に限定的な領域における進歩であり(右下領域)、真にそれを
集合的な成熟のために活用するためには、ひとりひとりの中に高次の意識構造
が確立される必要があります。それは、周囲に存在する情報の真贋を見極めて、
そうした洞察にもとづいて創造的な行動を主体的に展開していくための、個人
としての責任能力(“response-ability”)を十全に発揮できる意識構造であ
る必要があります。そうした意味では、昨年の大震災をとおして、わたしたち
はあらためて人格的な成熟という真に本質的な課題が、これまで等閑に付され
てきたことを実感しました。

残念ながら、人類は意図的に自己を変革できるほどに賢明な生物ではないよう
です。わたしたちが変革を実現できるときがあるとすれば、それは、わたした
ちをとりまく外的環境(“life conditions”)が圧倒的な変化を遂げるとき
であるといえます。たとえば、それは、自然というものが、わたしたちが勝手
にこしらえた「幻想」や「想定」を上回る凶暴性を発揮するものであることが
明らかにされるときであり、あるいは、世界というものが、わたしたちの大量
消費をいつまでも維持することができるほどに豊饒なものでないことが明らか
にされるときです。

わたしたちは自己を呪縛する世界観を意図的に超越することはできませんが、
それが虚構であることを照明してくれる契機を謙虚に活用することはできます。
しかし、また、そうした変革のための契機が効果的に作用するためには、世
界からのはたらきかけを既存の世界観や行動論理の限界を露呈させるものとし
てとらえるための解釈体系が必要となります。即ち、そこには、既存の自己を
そのまま温存することがとりかえしのつかない悲劇につながりかねないという、
健全な畏怖の感覚が体験できるような感性が息づいている必要があるのです。
わたしたちの社会は、今、こうした変化への契機を活用するための感性そのも
のを集合規模で喪失しているように思われます。

こうした状況において、インテグラル思想に課された責任とは何でしょうか?

2011年は、わたしたちインテグラルな実践者に実に大きな課題をつきつける年
となりました。あらたな年を迎えるにあたり、あらためて、自己につきつけら
れた課題の本質を省察して、これからの日々の生活をとおしてそれに対して回
答していく決意をすることを求められているといえそうです。
本年もどうぞよろしくおねがいします。

インテグラル・ジャパン総合研究所代表
鈴木 規夫

【2】イベントのご案内

2012年最初の講座は、発達段階測定基礎トレーニングです。インテグラル理論
の中核的要素でありながら、独学では概念的には理解できても、応用が効くま
で「身につける」「使いこなす」ことがなかなか難しい発達理論について、経
験豊富な講師から、実践形式で学んでみませんか? なお、本ワークショップ
は2010年末−2011年初頭に実施された「インテグラル・コーチング基礎講座I
――発達段階測定」とほぼ同内容のものとなりますが、数年かかって習得する
専門的内容の基本をお伝えするものですので、繰り返しの受講をお勧めいたし
ます。また、同講座を受講されていない方もご受講可能です。

*2012年 インテグラル・ジャパン ワークショップ 発達段階測定基礎トレー
ニング
[日時] 第1回:2012年1月21日(土)、第2回:2月25日(土)、第3回:3月
31日(土)(いずれも13:30〜17:00、開場13:15)
[場所] アトリエ・イフ・シーエイティー
〒158-0083
東京都世田谷区奥沢6-32-9 ローズコート自由が丘2-A
(東急東横線・大井町線 自由が丘駅徒歩5分)
アクセス・マップ: http://www.color-art.jp/access.html
[参加費] 45,000円(全3回一括でのお申し込みのみとなります。1回ずつの
お申し込みはできません)
[主催] インテグラル・ジャパン総合研究所
[講師] 鈴木 規夫 (インテグラル・ジャパン総合研究所代表)
[定員]10名(定員に到達次第締め切ります)
詳細:お申し込み:http://integraljapan.net/info/seminar2012_assessment.htm

【3】 インテグラル・コミュニティのその他の動き(他団体主催イベントの
ご案内)

ケン・ウィルバーの主著”Sex, Ecology, Spirituality: The Spirit of Evolution”
が『進化の構造』として日本に翻訳紹介されてから14年、弊研究所代表・鈴木
規夫が合衆国から帰国し、インテグラル思想の紹介を始めてから7年余り。各
地で、インテグラルな実践に携わる方々も増えてきました。このコーナーでは、
そういう方々の活動をご紹介していきます。

*京都インテグラル研究会(インテグラル理論・実践研究会)
[日時]2012年1月21日(土)13:30-17:00
[場所]京都会館 第5会議室
(南側に位置する「会議場」という建物の2階奥です)

アクセス:京都市左京区岡崎最勝寺町13番地
http://www.kyoto-ongeibun.jp/kyotokaikan/map.php

[参加費用]500円
[定員]20名
[主催]門林 奨(かどばやし しょう)(京都大学大学院教育学研究科)

◆使用文献:
・『インテグラル・シンキング』第四章(鈴木規夫著, 2011)

◇参考文献:
・『インテグラル理論入門T・U』(鈴木規夫他3名著, 2010)
・『実践インテグラル・ライフ』(ケン・ウィルバー他3名著, 2010)
・『万物の歴史』(ケン・ウィルバー著, 1996/2009)
・『万物の理論』(ケン・ ウィルバー著, 2002)
など

今回の研究会では、引き続き、2011年6月に出版された『インテグラル・シン
キング:統合的思考のためのフレームワーク』をとりあげ、インテグラル理論
のより実務的・実践的な側面について、参加者のみなさまとともに理解を深め
ていきたいと思います。

☆主催者プロフィール:
門林 奨(かどばやし しょう)
大阪府堺市生まれ。京都大学理学部卒。同大学院教育学研究科臨床教育学講座
在籍。特に興味を抱いている領域は、インテグラル理論、臨床教育学、発達心
理学、スピリチュアリティ。月1回、京都でインテグラル理論とその実践に関
する研究会・交流会を主催しつつ、自己成長(1人称)、他者との関わり(2人称)、
研究・奉仕(3人称)という三面において、自らも統合的な生き方を探求している。

☆詳細は下記を参照ください。
ブログ:http://beyonddescription.blog57.fc2.com/
mixiコミュニティ:http://mixi.jp/view_community.pl?id=5112305

☆ご参加希望の方は主催者までメールでお申込みください:
Kosmos.Void@gmail.com

*主催者の門林 奨さんにつきましては、次号にて誌上インタビューを掲載い
たします。お楽しみに。

*ご意見、ご感想などはお気軽にどうぞ! inquiry@integraljapan.net
*本メールマガジンの送付先アドレスの変更、及び、配信不要の方は、
inquiry@integraljapan.netまでご連絡ください。

----------------------------------------------------------------------
インテグラル・ジャパン・メールマガジン No. 55
配信日:2012年1月10日
発 行:インテグラル・ジャパン総合研究所
http://www.integraljapan.net/
発行人:鈴木 規夫
編 集:千葉 絵里

*無断複製・転載を禁止します
----------------------------------------------------------------------

   Copyright (c) 2012 INTEGRAL JAPAN All Rights Reserved