Integral Japan Mail Magazine Vol.46

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Integral Japan Mail Magazine
No. 46 (2011/02/05)
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【1】インテグラル理論基礎講座講義録より〜「発達の本質とは何か」(上)〜
【2】イベントのご案内
【3】編集後記
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皆さま、こんにちは。今号と次号では、久しぶりに講義録をお送りします。今
回は、インテグラル理論基礎講座第一日より、ごく一部ですがご紹介します。
発達段階を理解する上で、非常に重要な基礎的概念について解説しています。

【1】インテグラル理論基礎講座講義録より〜「発達の本質とは何か」(上)〜

このあたりで、少し発達段階の話をしましょうか?

発達段階の話を理解するときに、重要になる概念が「私」という概念です。
フロイトは、この「私」というものを示すときに――実はフロイト自身は「ego」
という言葉を用いていないのです――「Ich」という言葉を用いています。英
語では「I」ですね。ただし、これが、日本語に翻訳されたときに「自我」と
されているために、何だかとても難しいものであるかのように誤解されてい
ます。

「人間が発達する」というときに、具体的に何が発達するのかというと、私た
ちが「私」という言葉を発するときに意識されている、この漠然とした主体と
しての感覚です。確かに、」ここに「私」なるものが存在していることは実感
ができますよね。ウィルバーは、この感覚が、人間が成長していく中で変化・
変容していくことに着目して、発達論を展開しています。

それでは、この「私」というものを特徴づける特性というのは、何でしょうか?

赤ちゃんが哺乳瓶を噛んだりしているところを目にすることがありますが、実
は、私たちがどうやって「私」と「私ではないもの」を判別するかといえば、
そうした行為をとおして、それをしているのです。哺乳瓶を噛んでも痛くあり
ません。しかし、指を噛むと痛いんです。噛んで痛いものは私で、噛んで痛く
ないものは私じゃない、というわけです。

(自己と非自己を峻別する)こうした法則は、その後、私たちが成長しても引
き継がれていくことになります。鍵となるのは、「痛み」という感覚です。

赤ちゃんのばあいだと、肉体をとおして「噛んで痛いと"私"、噛んで痛くな
いと"私"じゃない」と識別をしていきますが、心理的に成長していくと、こ
の「私」が、肉体だけではなく、より広い領域にひろがっていきます。たとえ
ば、「私」が大切にしている趣味だとか、「私」が応援している野球チームだ
とか、「私」の大切な友人だとかです。こういうものにも「私」がひろがって
いくんです。

だから、みなさんの大切な友人が事故に遭って怪我をしたら、心が痛いでしょ
う? それは、彼等が文字通り「私」の輪の中に包含されているからなのです。

このように、人間の「アイデンティティ」(自己)というものは、単にこの肉
体にあるのではなくて、私たちが大切にしている友人だとか家族だとかを含み
込むようにしてひろがっていくものなのです。そして、この拡張のプロセスが
心理的な発達のプロセスなのです。つまり、私にとって大切なものの輪がひろ
がっていくということなんです。これは一生を通じてずっとひろがりつづける
ことのできるものです。

たとえば、大人である皆さんには、家族も大切だけれども、自分の生きている
国も大切かもしれない。地球も大切かもしれない。それから、実際に逢うこと
はない人達も大切かもしれない。この地球に生きていく次世代の子供たちや動
物たちも大切に思えるのです。

だから、「彼らのことを思うと胸が痛む」ということがあります。その瞬間、
僕らは痛みを感じているわけです。

このように、人間のアイデンティティは、この肉体だけではなくて、更に時空
間を広く広くひろがっていくのです。これを「アイデンティティの拡張」とい
います。

一般的には、こうした発達のプロセスの中で、どこかで停止します。しかし、
順調に成長を続けることができると、アイデンティティの輪は拡張しつづける
ことができるのです。

こうした意味での発達は、たとえばIQの高さなどとはあまり関係がないといわ
れています。どれだけ金を儲けているかということも関係ない(まあ、社会的
な成功と関係することもときにはあるかもしれないけど……)。我々が発達段
階を測定するときには――心理テストをするときには――「この人のアイデン
ティティの中にはどれくらいのものが含み込まれているのか」ということを測
ります(続く)(2011年1月22日・インテグラル理論基礎講座第1日、講師:鈴
木 規夫、アトリエ・イフにて収録)。

*いかがでしたか? 基礎講座では、インテグラル理論を理解するために必要
な、発達心理学の基本概念・用語についても、平易な言葉で解説を行います。
また、受講生の皆さんの問題意識を予めお聞きした上で、それにひきつけて講
義・解説をしていくことが可能です。2011年春期講座は既に始まっております
が、一日分ずつお申し込みいただくことが可能ですので、ご興味のある方は是
非受講をご検討ください。詳しくは、「イベントのご案内」をご参照ください。

【2】イベントのご案内

*会場として利用させていただいているアトリエ・イフが昨年10月に移転しま
した。新アトリエにいらっしゃるのが初めての方は、地図・住所をお確かめの
上おいでください。

アトリエ・イフ・シーエイティー

〒158-0083
東京都世田谷区奥沢6-32-9 ローズコート自由が丘2-A
(東急東横線・大井町線 自由が丘駅徒歩5分)
* 旧アトリエ・イフから線路沿いに2分ほど自由が丘方面に歩いた右手
マンション2階

アクセスマップ:http://www.color-art.jp/access.html

(1)インテグラル理論基礎講座(2011年1月22日(土)−開催済み・2月19
日(土)・3月19日(土)、いずれも13:30〜17:00、アトリエ・イフ)
*インテグラル理論を一から学びたい方、本を読んだけれども分りにくかった
という方、自分の理解を確認し、全体像を概観したいという方に最適です。ま
た、これまで学んできた様々な手法や自分の課題を大きな文脈の中に位置づけ
たいという方、組織や個人の成長支援を志す方にもお勧めです。
*詳細・申込:http://integraljapan.net/info/seminar2011_kiso_spring.htm

(2)インテグラル理論中級講座(2011年2月27日(日)・3月27日(日)・4月24
日(日)、いずれも13:30〜17:00、アトリエ・イフ)
*インテグラル理論の基礎的な理解の上に、実践への応用にあたり鍵となる事
柄について、更に理解を深めていきます。
*統合的な視点を確立したい方、クライアントの能力開発や成長支援に携わっ
ておられる方に特にお勧めです。
*基礎講座を受講中の方も、お申し込みいただけます。
*詳細・申込:http://integraljapan.net/info/seminar2011_tyukyu.htm

【3】編集後記
立春を過ぎると、物事が本格的に動き始める(=一年が本格的に始動する)と
聞いたことがありますが、自分の身近でもそういうことを感じます。仕事を取
り巻く環境は依然として厳しいですが、今年も、より充実した講座やサービス
を提供できるよう、少しでも前進できれば、と思っています(千葉)。

*ご意見、ご感想などはお気軽にどうぞ! info@integraljapan.net
*本メールマガジンの送付先アドレスの変更、及び、配信不要の方は、
info@integraljapan.netまでご連絡ください。

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インテグラル・ジャパン・メールマガジン No. 46
配信日:2011年02月05日
発 行:インテグラル・ジャパン株式会社
http://www.integraljapan.net/
発行人:鈴木 規夫
編 集:千葉 絵里

*無断複製・転載を禁止します
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