Integral Japan Mail Magazine Vol.28

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           Integral Japan Mail Magazine
              No. 28 (2009/08/08)
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【1】エコロジーに関するミニ講義を行いました:7月の研究会
【2】参加者によるディスカッションが中心です:8月のインテグラル思想
研究会
【3】その他のイベントのご案内
【4】行動論理を易しく解説:Capacity Evolution Blogより
【5】編集後記
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皆様、こんにちは。久しぶりにCapacity Evolution Blogの日本語版をお送り
します。また、行事案内には本日開催のものもありますので、ご留意くださ
い。それでは、メールマガジン第28号をお楽しみ下さい!

【1】エコロジーに関するミニ講義を行いました:7月の研究会のご報告

7月のインテグラル思想研究会(別名:ケン・ウィルバー研究会)を7月26日に
開催しました。まず、本題に入る前に、本日のテーマであるインテグラル・エ
コロジーに関連して、生態学の基礎概念のひとつである「ティッピング・ポイ
ント」に関するミニ・レクチャーが行われました(横浜国立大学大学院生・渡
邉 謙二氏担当)。「ティッピング・ポイント」は、そこを通過すると急激な
変化が起こるポイントとして、システム理論的なアプローチを取る社会理論で
もよく使われています。この日は、この「ティッピング・ポイント」という概
念を、元々の学問的な定義に照らして解説いただきました。

その後、講師の鈴木より、インテグラル・エコロジーを探究するにあたっての
参考として、第二世代のインテグラル理論家・Zachary Steinの学際性に関す
る論文をご紹介しました。Zachary Steinは、学際性を次の3つに分類していま
す。

Multi-disciplinary:インテグラル理論のひとつの象限の中で、2つ以上の方
法を採用するもの。2つの段階があり、(1)ひとつの学問分野の中で複数の流
派を併用・統合する(例:心理学において、ユング派・フロイト派・対象関係
理論等を併用する)(2)複数の学問分野であるが、ひとつの象限内に収まる
ものを実践する(例:哲学的アプローチと心理学的アプローチを併用する)、
に分けられる。
Inter-disciplinary:インテグラル理論の2つ以上の象限のdisciplineを実践
する。
Trans-disciplinary:統合・総合の枠組みを明確に意識しつつ、インテグラル
理論で言えば二つ以上の象限のdisciplineを実践する。

Steinは、trans-disciplinaryなあり方を志向することはどの段階でも可能で
あるが、段階を踏んで「学際性」を高めていくことが重要であると主張してい
ます。講師からも、ひとつのdisciplineに習熟することなく「学際性」を志向
することの問題点について指摘があり、参加者からも多く賛同の意見が寄せら
れました。

後半は、参加者の方の具体的な取り組みに対して、インテグラル・アプローチ
の観点から検討を行い、ステークホルダーとのコミュニケーション戦略を考え
ました。身近な問題に理論を適用して考えてみることは非常に刺激的であり、
参加者間の討議も大いに盛り上がりを見せました。8月以降の研究会では、参
加者の取り組みをインテグラルな視点から検討する、という取り組みを更に強
化していきます(千葉)。

*Zachary Stainの論文はこちらで読めます。
Zachary Stein (2007). Modeling the Demands of Interdisciplinarity:
Toward a Framework for Evaluating Interdisciplinary Endeavors.
Available at: http://integral-review.org/documents/Stein,%20Modeling
%20the%20Demands%20of%20Interdisciplinarity%204,%202007.pdf

【2】参加者によるディスカッションが中心です:8月のインテグラル思想研究

8月の研究会は、8月8日(土)に開催します。

インテグラル・ジャパンでは、2004年 以降、「ケン・ウィルバー研究会」(
別名:インテグラル思想研究会)を定期的に開催してきました。研究会では、
ウィルバーの著作をはじめとするインテグラル理論の関連書籍を参考図書とし
て採りあげながら、活発な議論にとりくんできました。研究会には、東京だけ
でなく、地方や国外からも多様な専門領域や実務 領域で活動する多数の方々
に参加いただきました。

最近の研究会では、関連書籍を理解するための理論的な議論にくわえて、イン
テグラル理論を実際の日常生活のなかで活用するための可能性を探求する議論
が活発に行われるようになり、参加者の興味がより実践的な領域に移行してい
ることが推察されるようになりました。これは、探求と実践を相補的なものと
して、それらに統合的にとりくんでいくことの重要性を認識するインテグラル
な視点が関係者のあいだに確実に確立しつつあることを示唆するものです。
こうした状況を考慮して、インテグラル・ジャパンでは、8月 より研究会では、
インテグラル理論の理解にくわえて、参加者が自らの課題について対話と討議
をとおして、理解を深めることのできる相互支援と相互対話の空間の要素を付
けくわえることとしました。また、このあつまりは、これまでにインテグラ
ル・ジャパンのワークショップに参加して、そこで習得した技法を日常生活に
おいて実践していくうえでの支援を求めている実践者のための対話空間として
の役割も担っています。奮ってご参加ください。

開催日:8月8日(土曜日)13:00〜16:00 p.m.
開催場所:北とぴあ803会議室
参加費:2,000円(一般)1,800円(IJ Member)
参加条件:特にありません
参考図書:インテグラル理論の基本を理解するためには、ケン・ウィルバーに
よる下記の書籍が参考になります。
*「進化の構造」(春秋社)
*「万物の歴史」(春秋社)
*「万物の理論」(トランスビュー)
主催:インテグラル・ジャパン
URL:http://integraljapan.net/
連絡先:info@integraljapan.net

【3】その他のイベントのご案内

昨年末より、インテグラル・ジャパンでは、インテグラル理論に初めて触れる
方にも気軽に参加していただけるオープン・ワークショップを開催しています。
おかげさまで、多くの皆様に、インテグラルなアプローチに取り組む最初の
きっかけとして、またILP Basicワークショップ・インテグラル理論入門講座
などの本格プログラムに参加された方には復習や応用の場として、オープン・
ワークショップをご活用いただいています。

オープン・ワークショップに参加された方のご感想を、一部、許可を得てご紹
介いたします。

−6月のオープン・ワークショップ「Integral Art Therapy 2」参加者の声
・「いろんなことを感じることができました。感じて、表現することの面白さ、
力強さを感じることができました」
・「体の中にある違和感から、こんなにもたくさんの発見があるとは思ってい
なかった。また、即興表現による、生き生きとした喜びを感じられてよかった」

−7月のオープン・ワークショップ「Vision Logic Mind 1」
・「自分のかかえている悩みとは、ジレンマであり、呼吸のようなものである
と知り、悩むよりも、いつ、どのタイミングでどれくらい(行動を)するかと
いうことの方が大切だと分かり、とても勉強になりました」
・「発達理論と対極性の管理の関係性がよくわかりました。不安を抱えて生き
ていくことが本質であるという言葉に勇気づけられました」

皆様もインテグラル・ジャパンのオープン・ワークショップにおいでになりま
せんか? また、10月には、ILP Basicワークショップがいよいよ開催されます。
ILP Basicワークショップでは、オープン・ワークショップでひとつずつご紹
介してきたILP(Integral Life Practice:統合的な生活実践)の「基本4モ
ジュール」を、包括的にご紹介します。本番開催前に、ILP Basicワークショッ
プの無料説明会も行っておりますので、ご関心のある方は、是非お気軽にご参
加ください。

☆初めての方歓迎! オープン・ワークショップ

1)8月のオープン・ワークショップ
インテグラル人生コンセプト講座〜五年に1回は自分の人生コンセプトを見直
そう!〜(2009年8月29日(土):13:30〜16:30 品川区立総合区民会館きゅ
りあん)
詳細・申込:http://integraljapan.net/info/seminar2009openworkshop08.htm

2)Vision Logic Mind〜行動論理分析〜
(2009年9月13日(日):13:30〜16:30 品川区立総合区民会館きゅりあん)
詳細・申込:http://integraljapan.net/info/seminar2009openworkshop09.htm

☆その他のイベント

ILPベーシック・ワークショップ無料説明会
(8月31日(月)及び9月14日(月)/いずれも19:00〜20:00 品川区立総合区
民会館きゅりあん)
詳細:http://integraljapan.net/info/seminar2009ilpbasic.htm#mu
申込:info@integraljapan.netまで
*どの日も同じ内容です。ご都合のよい日においで下さい。

女性のためのインテグラル・ライフ・サークル 9月の集まり
(2009年9月16日(水)19:00〜21:00 アトリエ・イフ)
詳細・申込:http://integraljapan.net/info/wilp_info.htm

ILP Basicワークショップ
(2009年10月24日(土)・25日(日)各日10:00〜17:00 Bumb東京スポーツ文
化館)
詳細・申込:http://integraljapan.net/info/seminar2009ilpbasic.htm

ご注意)前払料金を振込にて承るイベントの場合、弊社都合による開催中止の
場合を除き、受講料振込後の返金・振替は承っておりません(振替制度は、現
在、インテグラル理論入門講座限定の制度となっております)。ご予定をご確
認のうえ、お申し込みいただきますようお願いいたします。

【4】行動論理を易しく解説:Capacity Evolution Blogより

インテグラル・ジャパンの姉妹機関・インターコネクションズ(http://ikan.
biz/)の共同経営者であるザック・スミス(Zach Smith)のブログ(Capacity
Evolution Blog)の日本語版です。
個々の行動論理の特徴についてシリーズでご紹介していますが、今回は、A型
(戦略型段階・中期ヴィジョン・ロジック段階)の行動論理の解説をお送りし
ます。
――A型の人びと――

A型の人びとは、物事をシステム的に捉えた上で思考・行動しながら、あらゆ
るステークホルダーの見解に内在的な価値を見出すことができます。それだけ
ではなく、A型の人びとは、こういう見解を整合させ、一貫性を持たせ、自分
たちのコミュニティや組織において力強い変化と方向性を生み出すシステム・
ダイナミクスを創出することができます。これがA型の人びとの特徴です。「A」
は、複数の価値観や見解を、一貫した明確な戦略にまとめあげ、方向性を打ち
出すことができるということを表しています。A型の人びとの特徴を観察する
と、どういうことが言えるのでしょうか?

・アメリカの成人の約5%がA型であると言われています。
・A型の深層的能力を身につけると、個人は、意思決定を行うにあたり、バ
リュー・チェーン全体を見回して、短期的・中期的・長期的な成果を整合しう
る道を選択できるようになります。
・A型の人びとは、状況に応じて必要とされるものを敏感に察知して、柔軟に
対応することができるので、しばしば、非常に多面的な存在に見えることがあ
ります。
・A型の人びとはしばしば優れたリーダーとして活躍します。また、A型の人び
とは常に全体的な目標や構想を見据えることができているため、それを実現す
るためには、必要に応じて、自己を「小さく」することができます(そのため、
A型の人びとは、往々にして、舞台裏で活躍したり、周到に計画しお膳立てを
することに秀でています)。
・A型の発想はしばしばVision Logicと形容されますが、その名称が示唆する
ように、それは斬新な「将来像」や「構想」(vision)を構築する創造性に特
徴づけられています。しかし、そうした創造性は、また、時として、A型の人
びとを「理解不可能」な存在と誤解させることにもなります。
・非線形的なシステム思考とシステム・ダイナミクスの力を積極的に取り入れ、
活用することができます。
・複雑な問題に直面したときに――あるいは、複数の妥当なアイディアが提示
され、選択に苦慮するときに――H型の人びとよりも決定行動を採ることに優
れています。
・A型の人びとは、あいまいさに対処し、Big Pictureを描く思考が得意です。
・自己を、自分を超えた、互いに関連している文脈(例:組織・家族・環境)
の一部であり、また、自律した存在だと考えます。
・物事が相互に関連しあっていることや、行動の意図せざる結果・表に表れな
い結果を尊重して思考し、行動します。
・T型の観点からは、動きが遅いと見られることがあります(実に多様な要素
を認識・考慮することができるために、結果として、実際の行動が遅くなるこ
とがある)。
・個人・組織をとりまく「生態系」(物理的生態系、及び、文化的生態系)を
体系的にとらえることができます。生存環境を考慮して、論理的に一貫した行
動ができます。
・多文化・多国籍のプロジェクト、あるいは非常に変わりやすい、曖昧な目標
を掲げたプロジェクトを、主導し、計画し、実行する能力を持ちます。
・多くの場合、自己の成長だけではなく、他者の成長・発展にも多大な興味と
関心を持ちます。
・複数のステークホルダーにとって得になる解決策を模索します。
・状況を俯瞰的に把握して、そうしたBig Pictureに基づいて発想するために、
時として、人情味がなく、思いやりがないと見られることがあります。
・規範や規則に限界がある、時代遅れである、あるいは近視眼的であると考え
られるときは、喜んで規範・規則を再構成します。
・仕事と人生において、様々な役割を果たすことがあります。直線的な一貫性
を求めるA型以前の行動論理に基づいてA型を理解しようとすると、混乱したり
当惑したりする可能性があります。
・クリエイティブな方法で紛争や葛藤を解決しようとします。緊張を和らげる
のに、ユーモア等の「非常識的」(unconventional)なアプローチを用いるこ
とがあります。
・状況を俯瞰的に把握して、そこで必要とされる変化や変革を機敏に認識する
ことができるために、変化や変革に消極的な反対派に対して非寛容になること
があります。
・往々にして非常に柔軟で、幅広い文脈の中で様々な人々と仕事をすることが
できます。

A型の人びとは複雑であり、明確な定義をするのが難しい存在です。A型の人び
とは、多様で複雑な情報に基づいて物事を分析し行動しようとするため、彼ら
の意思決定は非常に賢明で思慮深いものに見えるか、完全に場違いに思えるこ
とがあります。意思決定や意思形成において、A型の人たちが持つ視点が非常
に貴重なものであるため、A型の人びとがコンサルティングや助言を行う立場
にいることはよくあります。権限と責任に制約が課され、自律性に乏しいか、
上意下達的にありふれた業務を遂行することが求められる場合は、A型の人び
とはすぐに仕事に飽きてしまい、より困難ではあるが刺激的な機会を求めよう
とします。「T型」から「H型」へ、そして、「H型」から「A型」へという行動
論理の進化は、あらゆるコミュニティにとって、また、あらゆる組織・団体・
政府にとって重要なものです。この進化は、真にグローバルな視点にもとづい
て、生態系をめぐる包括的なビジョンを構築するために、そして、人類社会の
長期的な持続可能性を可能とする計画を構築するために必要となるのです。イ
ンターコネクションズでは、今日において、効果的なリーダーシップを発揮す
るためには、少なくともA型の深層的能力が必要であると考えています(2008
年5月8日の記事)(翻訳・千葉/監修・鈴木)。

*深層的能力(capacity)……機能的能力(competency)と対になる概念。機
能的能力は、交渉能力、企画立案能力、管理運営能力等の個々の具体的なスキ
ルであるのに対し、深層的能力は意識構造の複雑さを指す。深層的能力の開発
は、人間の認識と行動の能力を本質的な意味で変容させることであり、通常、
長期間にわたる取り組みと、適切な支援と挑戦が必要となる。深層的能力=人
間としての器の大きさ、と解釈してもよい。

*原文は、こちらで読めます。
http://ikan.biz/blog/capacity-evolution/a-shaped-people/

【5】編集後記

アンケートで皆様からフィードバックをいただくのをいつも楽しみにしていま
す。自分たちの意図がしっかり受け止められていると非常に励みになりますし、
意図していなかった副次的効果や改善すべき点のご指摘も大変参考になりま
す。どうぞ、お気軽にご感想をお寄せください(千葉)。

*ご意見、ご感想などはお気軽にどうぞ! info@integraljapan.net
*本メールマガジンの送付先アドレスの変更、及び、配信不要の方は、
info@integraljapan.netまでご連絡ください。

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インテグラル・ジャパン・メールマガジン No. 28
配信日:2009年8月8日
発 行:インテグラル・ジャパン株式会社
http://www.integraljapan.net/
発行人:鈴木 規夫
編 集:千葉 絵里

*無断複製・転載を禁止します
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