Integral Japan Mail Magazine Vol.13

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           Integral Japan Mail Magazine
             No. 13 (2008/11/25)
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-----INDEX------------------------------------------------
【1】 11月の研究会のご案内
【2】 1-DAYワークショップに関するお知らせ
【3】 インテグラル思想研究会講義録より
【4】 Capacity Evolution Blogより
【5】 編集後記
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皆さま、こんにちは。東京地方は、急に冬の気候になってきました。皆さまも、
風邪などひかれぬよう、体調に気をつけてお過ごし下さい。
今号では、新コンテンツとして、インテグラル・ジャパンの関係会社、イン
ターコネクションズの共同経営者の一人であるザック・スミスのブログ記事の翻
訳をお送りします。どうぞお楽しみに。

○11月の研究会のご案内

11月の研究会は、11月29日(日)に開催します。2007年は、10回にわたり
ケン・ウィルバーの代表作『進化の構造』を取り上げました。2008年は、4月
より、ウィルバーの最新の理論モデル(ウィルバー5)を反映する著作である
『インテグラル・スピリチュアリティ』を毎月2〜3章くらいずつ読んで検討
を重ねてきましたが、9月の研究会で、『インテグラル・スピリチュアリティ』
の本文・付録は一通り読み終わりました。

9月より、ウィルバー5で導入された"8つのゾーン"(四象限がそれぞれ内側・
外側に分割されました)について、ひとつひとつじっくり確認していく作業を
進めています。11月は、下記の資料を参考に、Zone #3とZone#4について掘り
下げて学んでいきます。

研究会は、こちらから一方的に情報を伝達するというよりは、参加者の皆さま
と意見や洞察を交換しあう、交流の場としたいと思っております。ご関心のあ
る方は、どうぞお気軽にご参加下さい。

参考文献:
1. ケン・ウィルバー(松永 太郎訳)(2008)『インテグラル・スピリチュア
リティ』(春秋社)
  尚、『インテグラル・スピリチュアリティ』の概要をまとめた下記の参考資
料がインテグラル・ジャパンのHPに掲載されておりますので、どうぞ参照くだ
さい。:
「インテグラル・スピリチュアリティの諸条件」
http://www.integraljapan.net/articles/IntegralSpirituality_1.htm

2. 宮原 勇(2004)『図説・現代哲学で考える:表現・テキスト・解釈』丸善
(Zone #3)
3. 池上 嘉彦(1984)『記号論への招待』(岩波新書)(Zone #4)

参加資格:どなたでもご参加いただけます。予約は特に必要ありません。多く
の方々のご参加を御待ちしております。

開催日時:11月29(土)13:00〜16:30
開催場所:品川区東大井きゅりあん第3講習室
      (http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/)
      東京都品川区東大井5-18-1
      JR/東急線 大井町駅前
参加費用:2,000円(当日現金払)

また、インテグラル理論を理解するための諸々の参考資料がインテグラル・
ジャパンのHPに掲載されておりますので、どうぞ参照ください。過去の研究会
における配布資料もダウンロード可能です。

鈴木 規夫 Ph. D.
インテグラル・ジャパン代表 (http://www.integraljapan.net/)
協賛:非営利活動法人 にじの絵のぐ(http://www.nijinoenogu.jp/)

○1-DAYワークショップに関するお知らせ
12月6日(土)には、1-DAYワークショップ:インテグラル・ボディ・マネジメ
ントを開催いたします。ご参加の皆様には、12月3日頃に改めてご案内を差し
上げますが、動き易い服装と筆記用具をご持参下さい。体をほぐし、体の声に
耳を傾けながら、体と心のつながりを回復していきましょう。

*本ワークショップは、事前申し込みで定員に達したため、申し込みを締め切
りました。たくさんのお申し込み、ありがとうございました。当日受付は行い
ません。お申し込みいただけなかった方、申し訳ありません。1-DAYワーク
ショップは、引き続き開催を予定しており、現在、企画の検討を行っておりま
すので、内容が固まり次第ご案内申し上げます。

○インテグラル思想研究会講義録より
――インテグラル・アプローチとは何か:象限、レベル、ライン、タイプ、意
識構造と意識状態(5)――

(メールマガジン第12号より続く)
最近、「個性的」であることを称賛する知識人が多数いますけど、ここで「個
性的」・「個性化」ということばが使用されているときには、そうしたものと
は全く異なる意味で使われていることに留意してください。インテグラル理論
に於いては、個性的になればなるほど、人格が成熟すればするほど、自分とい
うものを対象化して、自分を超えたより高い価値観や高い世界を大切にできる
――という意味です。それは、好き勝手にやるのが個性的であることであると
主張する、今、流行している「個性」とは全然違います。

レベルの話について、何か質問あります?

質問者:あの、いいですか?

講師:どうぞ。

質問者:低い段階の人は高い段階の視野を共有することができないとおっしゃ
いましたよね? では、低い段階の人に対して、高い段階の視点を分かってもら
うにはどうしたらいいんでしょうか? ……というのは、卑近な例ですが、この
あいだ、山に登ったら、山には「ごみはお持ち帰り下さい」と書いてある掲示
板があるわけです。自分のごみは持って帰れ、と。でも、やっぱり、そこに必
ずごみを捨てていく人がいるわけですよね。「ごみをお持ち帰り下さい」と書
いてあっても。多分、それは、自分で持って帰るのが面倒くさいから、誰かが
捨ててくれるだろう、という思いでやっているわけじゃないですか。でも、誰
かが捨てないといけないわけですよね。で、それをみんなが自分で捨てれば、
みんながハッピーになれる。各人が自分のごみは自分で片付けることによっ
て、みんなが困らないという状況をつくりだすことができる。そういうことを
理解できる人もいるけれども、「自分で持って行きなよ」と言っても、「関係
ないよ、そんなの」と言う人もいるわけです。そういう、「そんなの関係ない
よ。誰かがやるからいいんだよ」という人に対して、「それはやっぱりダメな
んだよ」ということを教えるためには、どういう努力をすると、そういうこ
とが分かりあえるんですか?

講師:僕は、しばらくのあいだアメリカで生活をしていたのですが、そこで経
験したことにもとづいて説明しますね。サン・フランシスコのように比較的に
治安のいいところでも、例えばセブン・イレブンやマクドナルドでは、簡単に
トイレを使わせてくれないんです。トイレを自由に使えるようにしておくと、
備品を略奪されたり、設備を破壊されてしまうからなのです。ですから、トイ
レを利用したいと思ったら、従業員に頼んで鍵をもらわなければならないので
す。そのときには、客であるのかを確認されることもあります。こうしたこと
は、治安のいいサン・フランシスコにおいてもあたりまえのことになっていま
す。

つまり、どういうことかというと、コミュニティがコミュニティとして成立す
るためには、そのコミュニティを大切にしなければならないという意識がそこ
に所属する人々のあいだに確立されている必要があるのです。他人に監視され
ていなくても、自分で自分を監視して、コミュニティで共有されている公共施
設を大切にしようという意識して行動することができる必要があるんですね。

逆に、そうした規範感覚が内部に確立されていない人については、外部から縛
る以外に方法が無いんです。つまり、トイレの使用を許可する場合において
も、そういう人に対しては、その行動を監視するということです(あるいは、
使用を拒絶する)。現実問題として、治安が悪くなればなるほど、外から監視
をして、強制的に取り締まっていくことが必要となります。規範意識がしっか
りと内面化されていない人たちが増えれば増えるほど、共同体というのは、地
盤沈下して、最悪の場合には崩壊することになります。

今日、この研究会は、基本的にオープンにして開催しています。ウィルバーに
興味をもつ人であれば、各段に変な人はいないだろうと思うからです。でも、
例えば、料理教室だったら分かりませんよね。美味しいものが食べられると
思って、素晴らしい人も来るだろうけど、無料(タダ)で食べて帰ってやろう
という人が来るかもしれない(笑)。だから、オープンにできないわけですね。
そうすると、どこかにちゃんとゲートを作って、ちゃんと審査をして、「あな
たはIN、あなたはOUT」とやらないといけないわけですね(これは冗談です
が……)。

だから、人間の質が全体的に低くなれば低くなるほど、安心ができなくなって、
生活空間を守るために様々な方法――例えば、法律を厳格化したり、治安の
体制を向上したり――を採らざるをえない。日本が国として、今、正に正面か
ら苦しんでいるのは、意識の段階が全体的に地盤沈下しているという問題です。
自己中心的な段階から、自分の所属している共同体を大切にしようという、
高次の段階に成長できない人たちが急増しているわけです。特に、今の「ゆと
り教育」では、自分さえよければいいという非常に歪な「個性」が喧伝されて
いますが、その悪影響というのは測り知れないものがあります。

質問者:逆に、その点に関しては、昔のほうがよかったということですか?

講師:全然いいです(2008年4月の研究会より)(続く)。

○Capacity Evolution Blogより
インターコネクションズ(http://ikan.biz/)は、インテグラル・ジャパンの
関係会社であり、国内で唯一、インテグラル理論を基盤としたコンサルティン
グ・コーチング・アセスメントなどのサービスを法人のお客様向けに提供して
います。今号より、インターコネクションズの共同経営者の一人である、ザッ
ク・スミス(Zach Smith)のブログ(Capacity Evolution Blog)の翻訳を掲
載します。インテグラル・ジャパンでは、今後、インターコネクションズとの
協力関係を一層強化し、サービスの拡充を図っていく予定です。

――人間の深層領域の能力の発達(Capacity Evolution)について(1)――

人間の行動を決めるのは、人間のあり方(存在、being)です。どういう選択
をし、どういう行動をするかは、自分を取り巻く世界にいかに関わるかという
能力と密接に結びついています。この能力の大部分は、世界をどう見るかとい
う「レンズ」によるところが大きいのです。この「レンズ」は、「ものの見方
」「メンタル・モデル」「世界観」、あるいは発達心理学の用語では「行動論
理」と、さまざまな名前で呼ばれています。「行動論理」は、文字通り、行動
の背後にある論理のことです。

人生を歩み、世界を経験し、困難に直面するとき、人間は当たり前のように、
その時確立している行動論理に従って世界と関わります。私たちは、誕生と同
時にこの行動論理の発達の道を歩み始め、生涯にわたり、世界観を発展させる
可能性を持つのです。人間の殆どが通過する明確な発達段階には、次のような
ものが挙げられます。

X:この段階では、人間は自らの緊急の必要を満たすことを求めるオポチュニ
ストです。例えば、材木が必要なら、木を切り倒します。
G:この段階では、人間はしばしば、社会規範、仲間からのプレッシャー、そ
してグループの意志に従います。材木の喩えを用いると、他者が何をどうして
いるか次第で、材木が集まるかどうかが決まります。
I:この段階では、専門的な技術や知識を求め、尊重します。「正しい方法」
を信奉し、「正しい方法」に忠実であろうとします。論理と秩序に高い価値を
置きます。例えて言えば、樹木を管理するために官僚制を発達させ、材木を集
めるための細かいルールを決めます。
T:この段階では、複数の視点に価値があることを認め、自分の目的・目標を
達成するために、複数の視点の整合を取ろうとします。自らの手で何かを生み
出し、創造的で効果を上げ、成功を収める自分の能力を自覚し、それに満足を
覚えます。思考の形態は往々にして直線的です。例えて言えば、森林や樹木の
効用や管理手法について、徹底的な調査研究を行います。森林管理の短期的・
中期的な計画目標が設定されます。

この後の段階の行動論理も存在します。後期の発達段階にある行動論理は、そ
れより前の段階の行動論理よりも「優れている」というわけではありません。
後期の発達段階にある行動論理は、単に視点の拡大、深まり、延長を意味して
います。今日、より持続可能な思考と行動に移行すべきだと、パラダイム・シ
フトが求められています。興味深いことですが、これは下記のような行動論理
に向けて、ものの見方をシフトさせていくことが求められていると言ってよい
でしょう。

H:この段階では、世界は相互に関連しあっていると考え、平等主義的・相対
主義的なものの見方をします。あらゆる視点に、優れた面があると考えます。
全ての声に耳を傾けなければなりません。直線的でない、システム思考が可能
になります。例えて言えば、森林の本質的な価値、効用、生態系における価値
を全て検討する必要があります。
A:この段階では、指導原理(guiding principle)に基づいて、戦略と行動を
組織化し始めます。指導原理は、コンテクストによって変わります。喩えを用
いれば、生態系に十分配慮した行動と理解が可能になります。森林や樹木に目
を向けるばかりでなく、森林システムとバイオ・リージョンのバリュー・
チェーンの全ステークホルダーを念頭に置いた行動を志向します。
U:「自己」の概念が変容・拡大し、システム的に関連しあう関係性とダイナ
ミクスへの気づきにより、深いプロセスへの繊細なつながりを持ち始めること
が可能になります。また、どうやってその深いプロセスに影響を与えることが
できるのかという洞察を得ることも可能になります。例えていうと、樹木、森
林、バイオ・リージョン、生物圏及びその構成要素は、崩壊し、相互作用し、
創発する複雑な概念・ダイナミクスであり、その中に一貫性とつながりを見出
そうとします。一貫性とつながりという観点から、意思決定を行い、行動が生
まれます。
O:一であり多であることに満足しており、自己に目覚めた「触媒」であるこ
とは、この段階の人に適しているかもしれないし、適していないかもしれませ
ん。この段階の行動論理に重心がある人は、その瞬間瞬間に必要とされるもの
になります。ユニティブ段階の視点においては、世界の本質的なあり方がその
単純さにおいても複雑さにおいても完全に理解され、瞬間瞬間に創発するとい
う世界の本質が了解されます。絶えることなく生まれ、進化していく宇宙に他
ならない樹木は、存在の全体性を現しています。なぜなら、樹木は、紙、おも
ちゃ、蟻や鳥の住処、肺、熱、煙、怒りや愛という様々なものに変容するから
です(2008年5月2日の記事)(続く)。

*X〜Oの記号は、次の各段階を表します。
X:Opportunist(他者利用型段階・衝動的段階)
G:Conformist(体制順応型段階・神話的合理性段階)
I:Expert(専門家型段階・前期合理性段階)
T:Achiever(目的実現型段階・後記合理性段階)
H:Relativist(価値相対主義型段階・前期ヴィジョン・ロジック段階)
A:Strategist(戦略型段階・中期ヴィジョン・ロジック段階)
U:Alchemist(錬金術型段階・後期ヴィジョン・ロジック段階)
O:Unitive(前期トランスパーソナル段階)

*原文は、こちらで読めます。
http://ikan.biz/blog/capacity-evolution/
(左側の列の下方、太字で表示されている"Capacity Evolution"のコーナーか
ら、上から二つ目をクリックしてください)

○編集後記
11月の上旬に、インテグラル・ジャパンでは戦略会議を開催し、現在、来年度
の具体的な計画を作成している最中です。来年は、より充実した企画を皆さま
に提供できるよう、スタッフ一同、知恵を絞っています。確定次第、HPやメー
ルマガジンにてお知らせしますので、どうぞお楽しみに。

*ご意見、ご感想などはお気軽にどうぞ! info@integraljapan.net
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インテグラル・ジャパン・メールマガジン Vol. 13
配信日:2008年11月25日
発 行:インテグラル・ジャパン株式会社
http://www.integraljapan.net/
発行人:鈴木 規夫
編 集:千葉 絵里

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