Integral Japan Mail Magazine Vol.12

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              Integral Japan Mail Magazine
                 No. 12 (2008/11/10)
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-----INDEX-------------------------------------------------
【1】 11月の研究会のご案内
【2】 1-DAYワークショップのご報告とご案内
【3】 インテグラル思想研究会講義録より
【4】 スタッフ紹介
【5】 編集後記
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今号は、研究会のご案内と講義録を中心にお送りします。インテグラル思想研
究会(ケン・ウィルバー研究会)は、弊社代表取締役の鈴木 規夫が2004年に
アメリカ合衆国より帰国以来、現在に至るまで定期的に開催されています。私
たちの活動の原点であり、さまざまな取り組みを始めた今も大切にしている集
まりです。一人でも多くの方にご参加いただければ嬉しく思います。

○11月の研究会のご案内

11月の研究会は、11月29日(日)に開催します。2007年は、10回にわたり
ケン・ウィルバーの代表作『進化の構造』を取り上げました。2008年は、4月
より、ウィルバーの最新の理論モデル(ウィルバー5)を反映する著作である
『インテグラル・スピリチュアリティ』を毎月2〜3章くらいずつ読んで検討
を重ねてきましたが、9月の研究会で、『インテグラル・スピリチュアリティ』
の本文・付録は一通り読み終わりました。

9月より、ウィルバー5で導入された"8つのゾーン"(四象限がそれぞれ内側・
外側に分割されました)について、ひとつひとつじっくり確認していく作業を
進めています。11月は、下記の資料を参考に、Zone #3とZone#4について掘り
下げて学んでいきます。

研究会は、こちらから一方的に情報を伝達するというよりは、参加者の皆さま
と意見や洞察を交換しあう、交流の場としたいと思っております。ご関心のあ
る方は、どうぞお気軽にご参加下さい。

参考文献:
1. ケン・ウィルバー(松永 太郎訳)(2008)『インテグラル・スピリチュア
リティ』(春秋社)
  尚、『インテグラル・スピリチュアリティ』の概要をまとめた下記の参考資
料がインテグラル・ジャパンのHPに掲載されておりますので、どうぞ参照くだ
さい。:
「インテグラル・スピリチュアリティの諸条件」
http://www.integraljapan.net/articles/IntegralSpirituality_1.htm

2.宮原 勇(2004)『図説・現代哲学で考える:表現・テキスト・解釈』丸善
(Zone #3)
3.池上 嘉彦(1984)『記号論への招待』(岩波新書)講談社(Zone #4)

参加資格:どなたでもご参加いただけます。予約は特に必要ありません。多く
の方々のご参加を御待ちしております。

開催日時:11月29(土)13:00〜16:30
開催場所:品川区東大井きゅりあん第3講習室
      (http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/)
      東京都品川区東大井5-18-1
      電話番号:03-5479-4100
      JR/東急線 大井町駅前
参加費用:2,000円(当日現金払)

また、インテグラル理論を理解するための諸々の参考資料がインテグラル・ジ
ャパンのHPに掲載されておりますので、どうぞ参照ください。過去の研究会に
おける配布資料もダウンロード可能です。

鈴木 規夫 Ph. D.
インテグラル・ジャパン代表 (http://www.integraljapan.net/)
協賛:非営利活動法人 にじの絵のぐ(http://www.nijinoenogu.jp/)

*11月以降の研究会の日程は以下の通りです。場所はいずれもきゅりあんにな
ります。
2008年12月20日(土)、2009年1月17日(土)、2009年2月22日(日)、2009年
3月29日(日)

○1-DAYワークショップのご報告とご案内

インテグラルなアプローチを目で見て、触れて、体を動かして体験していただ
く1-DAYワークショップの第1弾として、インテグラル・アートセラピー・ワー
クショップを10月26日(日)に開催いたしました。インテグラル・ジャパンの
イベントに初めて参加される方が半数以上でしたが、粘土制作やムーブメント
で自分を表現することの楽しさ、ペアになった方と思いがけず共通性を発見し
たときの驚き、言葉を介さなくても"つながっている"と感じることのできる感
覚の不思議さなどを体験していただきました。「自分が取り組むべき課題が(
粘土で作った)作品の中に出ていた」という声も複数の方から聞かれ、自分の
視野からこぼれおちている自分自身を統合していくというシャドウ・ワークと
しての側面も、経験していただけたものと思います。

1-DAYワークショップの第2弾は、インテグラル・ボディ・マネジメントです。
長年にわたり自己探求の実践に取り組み、心・からだ・精神のつながりをみつ
めてきた講師とともに、インテグラル理論に基づくボディワークに取り組んで
みませんか?からだを鍛え、気分が爽快になるだけではなく、心・からだ・精
神・霊性などを統合した自己のあり方に、何かヒントが見つかるかもしれませ
ん。

1-Dayワークショップ インテグラル・ボディ・マネジメント〜ストレスに強
くなる<からだ>づくり〜

開催日時:12月6日(土) 13:30〜16:30
開催場所:北とぴあ 9階 和室(http://www.kitabunka.or.jp/data/sisetu/in
dex.htm)
      王子駅(京浜東北線・南北線)徒歩3分
受講料 :事前振込:3,000円 (当日現金払:3,500円)
*定員に到達次第締め切ります。事前申込で定員に到達した場合は、当日参加
をお受けすることができません。なるべく事前にお申し込み下さい。
*振込締切は、12月4日(木)となります。お振込がそれ以後になる場合は、
当日払にてお申し込み下さい。
*当日の緊急連絡先:03-6424-4853(スタッフの携帯電話へ転送されます)。
北とぴあへの電話問い合わせはご遠慮下さい。
定員:15名
講師:山口 直人(ボディワーカー、インテグラル・ジャパン・ファシリテー
ター)

*お申し込みはこちらから。
http://integraljapan.net/info/seminar2008onedayworkshop.htm

○インテグラル思想研究会講義録より
――インテグラル・アプローチとは何か:象限、レベル、ライン、タイプ、意
識構造と意識状態(4)――

(メールマガジン第11号より続く)
例えば、最近、町を歩いていると、大人たちに向かって、「お節介になろう」
と呼びかけるポスターが目につきます。つまり、何か気がついたことがあれば、
子供たちに注意してあげなさい、ゴミを捨てていたら若者に注意しなさいと
呼びかけているのです。でも、実際には、そんなことをしたら、逆上されて、
絡まれて、怪我をさせられたり、殺されたりするので、皆、躊躇してしまうわ
けですけど(笑)。

それはともかく、人間というものは、「自分さえよければいい」のではなくて、
自分が生活している空間が美しくあってほしい、安全な場所であってほしい、
きれいな場所であってほしいという想いを必ずもつべきなのですね。ただ、
そうした想いをいだくことができるためには、ある程度の成熟した意識が必要
となります。自分だけがよければいいんだったら、ゴミが捨てられようが、
ルールが破られようが、公共施設が壊されようが、そんなことはどうでもいい
んですよ。自分だけがよければいいのですから。ところが、自分以外のもの、
自分を超えたより広い世界や高い価値観、あるいは、コミュニティの健全性や
持続可能性というものにまで視野がひろがると、無関心ではいられなくなるの
です。自分のアイデンティティのなかにそういうアイテムが内包されてくるん
ですね。そうすると、自分の大切にするそうしたアイテムが傷つけられたり蔑
ろにされると「痛み」を感じるのですね。だから、大切にしようとするんです。

例えば、国を守ろうとする気持ちというのは、自分のアイデンティティのなか
に、自分の肉体的存在だけではなくて、「国」という巨大な空間や文化が内包
されるからこそ生まれるものです。それが攻撃されることが痛いと感じるわけ
ですね。だから、守らなければいけないと思う。愛国心とはそういうものです。

愛国心を更に超えたところでは、国境を超えて、あらゆる生きとし生けるもの
に対する愛情が芽生えていきます。それから、世代を超えて継承されていく価
値観に対する愛情というのもそういうものです。たとえば、真・善・美という
価値観ですよね。人間としてどうあることが美しいのかとか、人間はどう生き
るべきかという、ある程度の普遍性をもった価値観を大切にしたいという想
い。こうしたものは、目前に、直截に触れることのできるものとして存在して
いないけれども、それが自分のアイデンティティのなかにしっかりと含みこま
れることによって、それに対して愛情を感じることができるのですね。必然的
に、それが蔑ろにされると痛いわけです。だから、それを守ろうとして戦うわ
けですね。つまり、戦うことができたり、争うことができるというのは、人間
として大切なものがあるからこそ、こうあってほしいという想いがあるからこ
そ、怒りを感じたり憤りを感じたりすることができるからこそ可能となるので
す。

アイデンティティがひろがるというのは、守るべきものを次々と自分の内部に
含みこんでいくということです。だから、ウィルバーが言っているのは、成長
すればするほどアイデンティティがひろがり、大切にしたいものが増えること
になる、そして、大切にしたいものが増えれば増えるほど、それを守るために
様々な工夫をしたり、努力をしたりしないといけなくなる。それは、疲れるこ
とであるし、また、不確実性に自己を曝すことでもあると……。

例えば、家族を持ったら、24時間監視して保護することはできないから、いず
れ手放さなきゃならないわけですよね。そうすると、不安でしょう。だから、
愛する対象をもつということは、様々な苦悩を背負いこむことでもありますよ、
というわけです。その意味では、成熟というのは地獄につながるんです。と
いうか、いくら成熟していっても、そこには楽園は見出せませんよということ
です。ただ、人間は成熟せざるをえない存在ではありますが……。

いずれにしても、個としてこの時空間に生きている限り、完全なる楽園という
のは決して実現しえないし、また、ウィルバーはそれでいいんだと言っていま
すね。むしろ、この時空間のなかに楽園を創造できると考えること自体が多分
どこか根本的な過ちを犯しているのだと。

ウィルバーが、ここで、「自己中心的」→「集団中心的」→「世界中心的」と
説明しているプロセスは、自己の「輪」がひろがっていくプロセスのことです。
ひろがればひろがるほど、苦悩も増えることになります。大切にしたいと思
うものが増えるわけですから。また、世界中心的であるということは、自分の
子供だけではなくて、自分が直接に顔を見ることのない次の世代、次の次の世
代の人たちに対して責任を負うということです。彼等の幸福をどう慮るのかと
いうことです。これは、だから、考えてみれば、意識されるタイムスパンがひ
ろがるわけですから、非常に大きな責任を背負いこむことを意味します。

これは随分と大変なことじゃないですか? 「今さえ楽しければいいのだ」とい
う発想で生きられないわけですから。快楽主義に逃げ込めないわけです。たと
え自分が幸福を味わっていても、きっと地球の裏側では苦しんでいる人がいる
んだなあ、と思うとコーヒーもなかなか味わえませんよね……。僕はそんなこ
とないですけど(笑)、多分、ここには、そういう美しい方々が多数おられる
んじゃないかな(笑)。

いずれにしても、要するに、「成長する」というのは、そういうことですよね。
苦悩が増えるというのが成長です。まあ、大人になるというのは、要するに、
そういうことですからね。

いずれにしても、ウィルバーの思想のなかでは、時空間というものがもってい
る根源的な悲劇性というものが必ず強調されます。人間が人間である限り、必
ずそういう悲劇を背負う存在でしかありえないということです。だから、のっ
ぺりとした幸福を賛美したり、楽園を夢想したり、あるいは、「みんなあるが
ままで美しいのよ」と言っているようでは、まだまだですよ、ということです。

これが、レベルの話です(2008年4月の研究会より)(続く)。

○スタッフ紹介
インテグラル・ジャパンのスタッフを紹介していく企画の第6弾です。今回
は、インテグラル思想とは切っても切れない存在である、ケン・ウィルバーの
著作について聞いてみました。今回の質問は、「ケン・ウィルバーの著作の中
で、あなたにとって特に重要な一冊は何ですか? その理由、あるいは好きな一
節なども教えてください」です。

「『統合心理学への道』。この本の書評が新聞に載っていて、初めてケン・
ウィルバーを知りました。おもしろそうで書評を切り取ったのですが、本屋で
見たら、とてもその頃の私には手に負えない内容で、ギブアップ。でも何故か
切り取った書評は捨てずにいたら、数年後、ITPに出会い、そこで読むことが
できたという私にとっては意味深い本です」(依浮)
「『無境界』ですね。私は乱読タイプで同じ本を何度も目を通すことはないの
ですが、本書はワークブック的な役割もあり、何度も読み返した珍しい本で
す」(倉見)
「『進化の構造』。ケン・ウィルバーの著作を読みはじめたのは、『進化の構
造』が出版された1995年でした。そのころは、ワシントン州のいなかにある小
さな大学に留学していましたが、夏期の長期休暇中は寮に籠って、1ページ1
ページを噛み締めるように読んだことを今でも覚えています」(鈴木)
「『万物の歴史』と『進化の構造』。どちらか一冊をと選ぼうとしてもどうし
ても捨てきれず二つ挙げてしまいました。『万物の歴史』は私がウィルバーを
本格的に読み始めるのを決定づけた一冊です。「四象限」「フラットランド」
の思想から受けた感動とインパクトは私にとってある種の転機となりました。
7年前にウィルバーのウェブサイトを開設したのも、この後期のウィルバー(
『万物の歴史』と『進化の構造』)から受けた感動を他の人とも分かち合いた
いと思ったのが大きな動機でした。『万物の歴史』はその思想の深遠さにもか
かわらずインタビュー形式でわかり易く解説されていることに驚かされます。
ウィルバーほど難解とも言える思想をシンプルに説明できる人を私は他に知り
ません。『進化の構造』は私の知る限り、ウィルバーの本の中では最も先代の
偉大な思想家・哲学者の仕事への畏敬の念に満たされた一冊です。『進化の構
造』を読むことで愛を持って思想を営む事とはどういうものかを感じとれたの
は大きな収穫でした。」(高橋)
「『グレース・アンド・グリット』。ケン・ウィルバーは自分の思想を生きて
いる人であり、人としての痛みや苦しみを知っている人なのだということがよ
く分かりました。学生時代に一世を風靡していたいわゆる知識人と呼ばれる人
びととは異質の感じがするのに興味を覚え、更に著作を読み進んでみようと思
うきっかけになりました」(千葉)
「『進化の構造(上・下)』。理由は、四象限とレベルの考え方をもとに、様々
な専門分野や視点を俯瞰できることを示した画期的な著作だから。初めて読ん
だ際には、このような理論があることに驚き、"この本をヒントにして、100冊
以上本が書けるのでは"と思いました」(藤井)
「『ワン・テイスト:ケン・ウィルバーの日記』。ウィルバーのスピリチュア
ルな実践と真実に対する深いコミットメントにいつも励まされてきました。"
あなたのヴィジョンに情熱を注ぎ込み、はっきりと話すことだけが、何とかし
て、気の進まない世界に最終的に真実を浸透させることになりうるということ
だ。"(『ワン・テイスト』上巻p.57)」(山口)
「『進化の構造』です。この本は、何かを学ぼうという意志をもって開くとき
には、その意志に応じた洞察を与えてくれます。的確な言葉――例えば「しか
し合理性が、その潜在力を十分に発揮させ…」にはじまる文章(2巻p222−
223)や、ここに登場する参考文献・人物などからは、幾度となく大切なこと
を学んでいます」(渡邊)

○編集後記
「スタッフへの質問」コーナーでは、ケン・ウィルバーの著作との出会いや付
き合い方についてインテグラル・ジャパンのスタッフに語ってもらいました。
皆さまの出会いはどうでしたか? 研究会などで是非お伺いしたいと思っており
ます。

*ご意見、ご感想などはお気軽にどうぞ! info@integraljapan.net
*本メールマガジンの送付先アドレスの変更、及び、配信不要の方は、
info@integraljapan.netまでご連絡ください。
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インテグラル・ジャパン・メールマガジン Vol. 12
配信日:2008年11月10日
発 行:インテグラル・ジャパン株式会社
http://www.integraljapan.net/
発行人:鈴木 規夫
編 集:千葉 絵里

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