Integral Japan Mail Magazine Vol.11

**************************************************************
             Integral Japan Mail Magazine
                No. 11 (2008/10/21)
**************************************************************
-----INDEX----------------------------------------------------
【1】 ILP BASICワークショップのご報告
【2】 1-DAYワークショップのご案内
【3】 10月の研究会のご報告
【4】 11月の研究会のご案内
【5】 インテグラル思想研究会講義録より
【6】 編集後記
--------------------------------------------------------------

皆さま、こんにちは。しばらく前のことになりますが、今年のノーベル物理学
賞・化学賞に日本人が選出されたニュースが大いに話題になりましたね。日本
人の底力を感じました。インテグラル理論と実践についても、いつか日本から
大きな貢献ができるのではないかと思い、それに向けて活動するのが私たちの
目標でもあります。さて、それでは、今回もここでしか読めない最新情報をお
届けします!

○ILP BASICワークショップのご報告
9月から行ってきた、国内初の試みとなるILP BASICワークショップですが、
10月13日(月・祝)に最終第3日を実施しました。この日は、9月の第1日・
第2日で学んだ基本モジュールの実践を一ヶ月ご自分で実施していただいて、
その成果を確認し、疑問や質問、洞察を分かち合うというのが主な目的です。

風邪等でお二人欠席が出てしまったのが残念でしたが、それぞれの日常の中で
取り組みを深め、「自分は以前とは少し変わってきた」「自己主張ができるよ
うになってきた」等、既に効果を感じていらっしゃる方もおられ、運営側とし
ても大いに励みになりました。「ILPを実践したらどういう効果があるのか、
実例をもっと知りたい」「スピリチュアリティとお金について探求したい」「
シャドウのワークの意義がよく分からない」等、皆さまから寄せられたご質問
やご要望については、今後のプログラムのなかで、あるいは、インテグラル・
ジャパンからお送りするさまざまな発信物を通して、お応えしていきたいと
思っております。ご参加の皆さま、3日間どうもありがとうございました。

ILP BASICについては、今回ご都合がつかなかった方にもご参加いただけるよ
う、今後も開催を計画しています。詳しいことが決まり次第、メールマガジ
ン・HPでご案内申し上げます。

○1-DAYワークショップのご案内

インテグラルなアプローチを目で見て、触れて、体を動かして体験していただ
く1-DAYワークショップを開催いたします。これからインテグラル理論やその
実践について学んでみたい方、インテグラル理論の応用の可能性について探求
したい方、アートセラピーやボディワークに興味のある方にお薦めです(アー
トセラピーやボディワークの経験は必要ありません)。

また、ILP BASICワークショップにご参加いただいた方には、各モジュールの
復習としてもご活用いただける内容です。アートセラピーで出会う"それまで
気づかなかった自分"とは、実はシャドウであったりもします。アートセラピ
ーでは、言葉だけで行うワークとはまた違った形で、穏やかにシャドウに触れ、
軽やかに、あるいはダイナミックに変容を促します。ILP BASICワークショッ
プでは、一人でできる基本的なワークをご紹介しましたが、今度は、じっく
り感覚や感情を味わう時間をとり、分かち合いの機会も設けています。たくさ
んの気づきをもたらしてくれるものと思います。

ボディワークは、ILP BASICワークショップのなかでも大変好評でした。体の
さまざまな感覚を取り戻し、研ぎ澄ますことで、体を通して開示される智慧を
受け取りやすくなっていき、心と体のバランスを調整していくことができます。
仕事や勉強が忙しく、運動不足だなあと思われる方、最近なぜかいらいらす
るなあ、と感じておられる方、是非この機会に体を動かして、バランスを取り
戻していただければと思います。

1. 1-Dayワークショップ インテグラル・アートセラピー~自分とつながる、
みんなとつながる~
開催日時:10月26日(日)13:30~16:30
開催場所:大橋会館208会議室
(http://www.neclivex.co.jp/ohashi/school/access.html)
     田園都市線池尻大橋駅より徒歩3分・
東急東横線中目黒駅より徒歩15分
受講料:事前振込−3,000円 (当日現金払−3,500円)
*定員に到達次第締め切ります。事前申込で定員に到達した場合は、当日参加
をお受けすることができません。なるべく事前にお申し込み下さい。
*振込締切は、10月23日(木)となります。お振込がそれ以後になる場合は、
当日払にてお申し込み下さい。
定 員:15名
講 師:依浮 とし子(アートセラピスト、インテグラル・ジャパン・ファシ
リテーター)
主催:インテグラル・ジャパン株式会社

2. 1-Dayワークショップ インテグラル・ボディ・マネジメント~ストレスに
強くなる<からだ>づくり~

開催日時:12月6日(土) 13:30~16:30
開催場所:北とぴあ 9階 和室
(http://www.kitabunka.or.jp/data/sisetu/index.htm)
      王子駅(京浜東北線・南北線)徒歩3分
受講料 :事前振込:3,000円 (当日現金払:3,500円)
*定員に到達次第締め切ります。事前申込で定員に到達した場合は、当日参加
をお受けすることができません。なるべく事前にお申し込み下さい。
*振込締切は、12月4日(木)となります。お振込がそれ以後になる場合は、
当日払にてお申し込み下さい。
定 員:15名
講 師:山口 直人(ボディワーカー、インテグラル・ジャパン・ファシリテー
ター)

*上記の2講座とも、お申し込みはこちらから。
http://integraljapan.net/info/seminar2008onedayworkshop.htm

○10月の研究会のご報告
10月の研究会は、10月12日に開催いたしました。先ず、課題図書の『現象学こ
とはじめ――日常に目覚めること』(山口 一郎、日本評論社)と『はじめて
の構造主義』(橋爪 大三郎、講談社現代新書)について意見交換し、現象学、
及び、構造主義は基本的に前期ビジョン・ロジック段階の行動論理に立脚し
ていることを確認しました。その後、Zone#2のアプローチを体験する取り組み
として、Jane Loevinger(1918-2008)のMeasuring Ego Development(1970)
の例題をいくつか取り上げ、グループに分かれて、それぞれの文章表現がどの
発達段階を基盤に発想されているものかを検討しました。

質疑応答の時間には、「発達段階が上がって行くということは、"眼"(その人
が利用することのできる視点・perspective)が増えていくということだが、"
眼が増えていくこと"と"手足がついていくこと"にはどういう違いがあるのか?
」「こういうことをしている私を見つめる私がいる……ということを更に見つ
める私がいる、という風に、視点が増えていくことは、無限退行にはならない
のか?」という質問がありました。前者については、文章完成テストを通して、
個人がボディをどう統合しているかをある程度は把握できるが、しかし、実
際の日常生活において、果たして"手足が真についてきているかどうか"を明確
に判断することはできない、とのこと。後者の質問については、「真の私を追
い求めて生きている私がここにもいる、そこにもいる」というパノラマ的な視
点が確立されるのが中期ビジョン・ロジック段階になるが、視点が無限に退行
していくわけではなく、いわゆるトランスパーソナル段階と言われるUnitive
段階にいたると質的な変換が起こり、意味を構築して生きざるを得ない"私"を
見切る、との回答が講師よりありました。このあたりについては
http://integraljapan.net/pdf/iti/ITI20061217.pdf などをご参照下さい(ビ
ジョン・ロジックの三段階、及び、更に発達が進んだ段階については、2006年
10月~12月の研究会で詳しく取り上げています。インテグラル・ジャパンのサイ
トより当時の資料をダウンロード可能です)。

○11月の研究会のご案内
11月の研究会は、11月29日(土)に開催いたします。今回は、『インテグラ
ル・スピリチュアリティ』で発表された「8つのゾーン」(四象限を更に内側・
外側に分割したもの)のうち、Zone#3 とZone#4について詳しくみていきます。

開催日時:11月29日(土)13:00~16:30
開催場所:品川区東大井きゅりあん第3講習室
      JR/東急線 大井町駅前
      (http://www.shinagawa-culture.or.jp/curian/)
参加費用:2,000円(当日現金払)
*予約は特に必要ありません。どなたでもご参加いただけます。
講師:鈴木 規夫Ph.D.(インテグラル・ジャパン株式会社代表取締役)
参考資料:
1.ケン・ウィルバー(松永 太郎訳)(2008)『インテグラル・スピリチュア
リティ』(春秋社)
2.宮原 勇(2004)『図説・現代哲学で考える:表現・テキスト・解釈』丸善
(Zone #3)
3.池上 嘉彦(1984)『記号論への招待』岩波新書(Zone #4)

詳しくはこちらをご覧下さい:http://blog.integraljapan.net/

*研究会の今後の予定:
2008年12月20日(土)、2009年1月17日(土)、2009年2月22日(日)、2009年
3月29日(日)

○インテグラル思想研究会講義録より
――インテグラル・アプローチとは何か:象限、レベル、ライン、タイプ、意
識構造と意識状態(3)――

(メールマガジン第9号より続く)

次に重要なのが、特に西洋の心理学が実証的な調査・研究をとおして構築した
「段階理論」(stage theory)です。意識の発達段階は、具体的な測定の方法
を習得しないと、正確には把握することのできないものです。もちろん、漠然
とは把握することができます。例えば、この本(「インテグラル・スピリチュ
アリティ」)を読み終えたら、自分の人生を振り返って、「ああ、自分は17歳
くらいのときはこの段階にいたのだろうな」と推測することはできます。また、
そうした推測というのは、そんなに的外れなものではないとは思うんです。
ただ、そうした「ひとりよがり」なものではなく、十分な客観性をそなえた測
定をすることができるためには――例えば、実際の人間をインタビューして、
その人物の意識の重心がどのあたりにあるのかを数量的に把握することができ
るためには――専門的な測定のトレーニングが必要になります。

こうした段階的な発達理論の研究者としては、ピアジェ、コールバーグ、キー
ガン、それから、エリクソンなどが有名ですね。それから、最近、流行りのユ
ングも発達心理学者ですね。彼は、意識構造の発達段階が高まることによって
無意識の見え方が変わってくることを主張しています。最初は「シャドウ」と
して見えていた無意識が、より自我が発達することによって、「アニマ」や「
アニムス」として見えてくる。つまり、こちらのかけている「レンズ」が成熟
すれば、そのレンズをとおして見えてくる対象――この場合には、「無意識」
ですね――の見え方そのものが変わってくるということです。これがユングの
発達理論です。これは正に発達のモデルなんですね。

これは非常に重要です。そして、ウィルバーの理論のある意味では最も分かり
にくいところというのが、実は、この「段階」(stage)の話なんですね。実
際、多くの読者がここでつまずいてしまうようです。何となく言っていること
は分かるのだけれども、しかし、漠然としか理解をすることができない。

30年、40年、50年と人生を生きる過程のなかで、わたしたちは段階の変換の経
験、つまり、古い「器」が壊れて、新しい「器」が作りなおされる経験をどこ
かでしてきているはずです。しかし、そうした経験を必ずしも覚えているわけ
ではない。また、たとえ、それを漠然と記憶していたとしても、その本質をあ
らためて検証した経験というのは無いかもしれない。そのためには、どうして
も、専門的な発達心理学の知識や訓練が必要となるのです。

段階が変わることによって、世界の見え方が根本的に変わることになるという
主張を漠然と理解することはできるのだけれども……でも、やっぱり、良く分
からない――こういう状況というのは、ですから、ある意味ではいたしかたの
ないことなのです。そして、これがウィルバーの思想を実感をもって理解しに
くくしているところなのです。

この研究会では、しばしば、「レンズ」という言葉が使われます。わたしたち
は、普段、自分がレンズをかけていることに気づかないで、日常生活を送って
います。そして、何らかのきっかけで、そうしたレンズが外れたときに、世界
というものが、それまでに慣れ親しんだものとは異なる、もうひとつの姿を
もっていることに気づくわけです。レンズが変わるというのは、そういうこと
です。

ある意味では、段階が変わるというのは、そういうことなのだということがで
きます。今まで、「赤のレンズ」だったものが、突然、「青のレンズ」に変換
したときに、全く異なる世界が見えてくる。そうした根本的に世界の「見え方」
や「感じ方」が変わる経験が、「段階の変容」(transformation)――「死
と再生」という表現がよく使われますが――なのです。ウィルバーは、こうし
た変化をとりわけ重視しています。

ただ、こうした話をすると、必ず、反発があります。今の社会では、「みんな
あるがままで平等であるべき」という思想が正しいものとして流通しています
ので、そうした状況に於いて、「低い段階」にいる人と「高い段階」にいる人
という峻別(価値付け)するこうした発想は排除されるべきものとして見做さ
れることになるのです。これが、ウィルバーが嫌われる原因でもあるんです。
「それって人間を差別化してない?」とね。「差別」はしてないけれども、「
区別」はしてるんです。

例えば、われわれとイチローを比較したら、そこには明らかに野球の能力の差
があるように、現実として人間の能力の差というのは厳然とあるんですね。こ
れは、意識の発達段階にもいえるということです。ウィルバーが嫌われている
理由というのは、こういうことを明言してしまうからなのです。もっと社交的
に上手な人間というのは、こういうことは大っぴらには言わないです。陰で言
うのです。

さて、次の章では、ego-centric・ethnocentric・world-centricという言葉が
登場します。「自己中心的」・「民族・集団中心的」・「世界中心的」という
ことですね。これは、発達段階とは何かということを理解するうえで、非常に
助けになります。

[図を書きながら]これをStage 1としましょうか。これがStage 2、そして、
これがStage 3です。意識構造が成長すれば成長するほど、自分のなかに含み
こむことのできる、もしくは、見ることのできる情報量が増えてくるというの
が発達理論のポイントでした。ですから、Stage 1からStage 2に移行するとい
うことは、Stage 1のレンズを捨ててStage 2になるのではなくて、Stage 1に
新しい要素がくわえられることをとおして、Stage 2が形成されるのだという
ふうに考えてください。Stage 3は、Stage 1足すStage 2足すαでStage 3にな
るわけです。だから、発達には、必ず、「超越と継承」――英語で言うと
transcend and includeという言葉があります――というパターンが働いている
んですね。

これは、もう何度も紹介している喩えですけれども、ここで、あらためて、使
わせてもらいます。意識構造というのは、わたしたちが、自己と他者を峻別す
るときに影響する最も重要な要素です。どこまでが自分でどこからが他者かを
判断するときに、わたしたちは意識の構造に無意識的に支配されることになる
のです。

赤ちゃんは色んなものを噛みます。そして、そこで、瓶を噛んでも痛くないけ
れども、自分の指を噛むと痛いということを発見します。噛んで痛いのが自分
であり、噛んでも痛くないのは自分じゃないということを理解するわけです。
ここで明確に自己と他者――どこまでが自分で、どこまでが他者であるか――
という明確な峻別ができるんですね。ただ、これは非常に小さなアイデンティ
ティです。逆に、噛んでも痛くないものは、自分じゃないわけですから、それ
に対して無関心にもなるわけです。

ところが、わたしたちは、大人になると、どうでしょう? もちろん、自分の指
を噛んで痛いという、自分を大切にする気持ちはあるけれども、例えば、自分
の愛する人が傷ついたり病んだりすると、それがすごく痛いですよね。という
ことは、アイデンティティが格段に広がっているわけです。単に肉体に縛られ
たアイデンティティではなくて、肉体的な関係はないんだけれども、愛情や価
値観を共有することによって、実にたくさんの他者が自己の内部に含みこまれ
ることになるのです。その人が傷ついたり苦しんだりすることが自分にとって
すごく痛いということになる。つまり、自分が深まれば深まるほど、広がれば
広がるほど、共感を覚えたり、痛みを感じたりする能力が増えるということな
んですね。こうしたことを踏まえて、成長というのは自己中心性が少なくなっ
ていくことだと言われるのです。「俺さえよければいい」ではなくて、むしろ、
他者であっても、その他者の傷つく姿がすごく痛く思われる状態。これは、
つまり、自己中心性が小さくなっているということですよね。こうした共感の
輪というものは、最初に、自分と家族等身近な存在を含みこみます。そして、
この輪がさらに広がってくると、民族だとか、国家だとか、自分の所属する組
織だとか、もしくは、自分が大切にしているルールだとか価値観を含みこむこ
とになります。これがないがしろにされることが凄く痛いという非常に高次の
苦しみを経験することができるようになるのです。
(2008年4月の研究会より)(続く)

○編集後記
インテグラル・ジャパン株式会社は、まもなく設立1周年を迎えます。無我夢
中で過ごした1年でしたが、この1年の成果を踏まえ、次年度は更に充実したプ
ログラムを皆さまにお届けしたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお
願い申し上げます。

*ご意見、ご感想などはお気軽にどうぞ! info@integraljapan.net
*本メールマガジンの送付先アドレスの変更、及び、配信不要の方は、
info@integraljapan.netまでご連絡ください。

-----------------------------------------------------------------
インテグラル・ジャパン・メールマガジン Vol. 11
配信日:2008年10月21日
発 行:インテグラル・ジャパン株式会社
http://www.integraljapan.net/
発行人:鈴木 規夫
編 集:千葉 絵里

*無断複製・転載を禁止します
------------------------------------------------------------------
   Copyright (c) 2008 INTEGRAL JAPAN All Rights Reserved